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六甲・ポートライナー 踊る「クリップ」の「怪」

   兵庫県沖にある人工島への路線として知られる無人運転電車の六甲ライナー、ポートライナー。この電車の床で、突如としてクリップが立ち上がる「怪」現象が報告されている――。いったい、なぜなのか。

神戸新交通「1000型」「8000型」で起きる

   この現象は神戸新聞が2009年7月8日、取り上げた。神戸新聞web版には、同紙が制作したYouTube動画「踊るクリップ」とあわせて報じられている。動画は現在、1万回以上再生され、いったい原因は何かと話題だ。六甲ライナー車内で撮影された動画を確認したところ、車内床に置かれた数枚のクリップが、電車の発進とともに立ち上がり、スピードが安定するとぱたりと倒れ込む。

   神戸新聞によると、この現象は六甲ライナー、ポートライナー車内で確認されたという。路線を管理している神戸新交通によると、クリップが立ち上がる現象は六甲アイランドを走る「1000型」と呼ばれる車両・11編成で事実が確認され、ポートアイランドを走る「8000型」と呼ばれる車両・1編成については確認を急いでいる。

   ところでなぜ、こうした現象が起きたのか。独立行政法人交通安全環境研究所は、車両下部にあるモーターに電流が流れる際、電流の波形を正す「リアクトル」と呼ばれるコイル状の装置が「磁界」を発生させたため、と分析する。くわえて、車両下部には遮断版がなかったために、磁界が周囲にまで漏れ出したのではとみている。

   そうして、装置のまわりに置かれたクリップは磁気を帯び、クリップが軽量だったこともあって、それにひきつけられるようにして立ち上がったらしい。なお、加速するとき、ブレーキを踏み込んだときに装置が働くため、クリップは立ち上がったり、倒れたりを繰り返したというわけだ。

どの車両でも同様の現象が起こるわけではない

   もっとも、どの車両でも同様の現象が起こるわけではない。同研究所は「最新の車両では遮断版を設けており、こうした現象は起きません。しかし、10年以上経っている古い型の車両の場合は遮断版がなく、くわえて、リアクトルも人通りのあるところに設置されていた可能性があります」と指摘する。

   なお、この現象は、人体への影響が懸念される電磁波とは別であり、磁石の仕組みが働いたに過ぎない。そのため、人体への影響はないだろうとうする。一方、精密機械やカード類も差し支えないようだが、しかし、カードや機械によっては一概にそう言えないため、注意が必要とのことだった。

   神戸新交通総務課によると現在、人体や精密機械への影響を調査中といい、「調査結果はホームページを通じて、早めに報告したい。(磁気の)測定値を基に、しかるべき対処をとりたいと考えています」と話している。