J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「日食、見られなかった!」 返金求めるネット相談が話題

   皆既日食で注目された鹿児島県の悪石島は、当日あいにくの暴風雨に見舞われた。これに対し、ツアー参加者の家族を名乗る人が、ヤフー知恵袋で大金の一部返金を訴えて話題になっている。

家族5人で計214万5000円の出費

ヤフー知恵袋に寄せられた質問
ヤフー知恵袋に寄せられた質問

   皆既日食が見られるのが6分25秒と、世界で最も長いとされたトカラ列島の悪石島。ところが、当日の2009年7月22日は、突然の暴風雨に襲われ、最も見えにくい状況になってしまった。

   新聞各紙によると、日食直前の午前10時ごろには、1時間に9ミリもの土砂降りと最大風速17メートルの暴風に。竜巻の危険さえ伝えられ、テレビで、ツアー参加者らが小学校の校庭などから避難する様子も報じられた。

   日食ツアーは、最低でも1人34万4000円と高額なのも話題を集めた。そんな中で、ツアーに参加した息子の母親と名乗る人が、Q&Aサイト「ヤフー知恵袋」に22日夕、こんな質問を投げかけた。

「ツアー会社に一部返金に応じて貰えないのでしょうか?」

   この質問者は、息子家族5人が3泊4日でツアーに参加し、計214万5000円を支払ったと告白。規約で、悪天候では日食が見られないことを確認したとしながらも、「皆既日食を見よう!」と銘打たれている以上、代替措置も含めて何かしら対応が必要だと訴えている。

   前日に悪天候が分かったため、旅行会社に那覇などへ移動するよう訴えたが、無理と断られたという。そして、「電話でもあちらの家族、そして私の息子の悲しい怒声が聞こえてきました。本当に悲しいです」とつづり、旅行会社への法的措置さえほのめかしている。

   これは、話題作りにウソを書き込んだ「釣り」の可能性はあるが、質問に対して、540も回答が寄せられ、反響を呼んでいる。

   ヤフー知恵袋に寄せられた回答には、質問者家族の自己責任を指摘する声が多い。とはいえ、ツアーでは、同様な苦情などはあるのだろうか。

「宿泊施設が乏しく、インフラ整備が必要」

   悪石島への日食ツアーを行ったのは、近畿日本ツーリストだけ。そこで、同社の広報担当者に聞くと、参加者からは苦情などは聞いていないという。ヤフー知恵袋の質問については、「書き込んだ人は分かりませんが、もしお話があった場合は対応します」と話す。

   ツアーは、テントや体育館で泊まるなどの条件ながら、鹿児島・那覇発で34万円以上もする。このことについて、担当者は、「島には宿泊施設が乏しく、インフラを整備しなければなりません。貯水タンクや食事作りのシェフ、仮設シャワー、簡易トイレ、電気などを用意するのにお金がかかるということです」と説明する。つまり、こうしたコストが料金に上乗せされているから高くなるということだ。

   悪天候が予想される場合の措置については、「代替も難しく、変更は現実的ではありません」とする。観測の代わりに別の楽しみを用意することも同様とし、「日食の瞬間に晴れ間が出るかもしれませんし、そうでなくても真っ暗になる体験ができます。観測は2、3時間だけで、ほかに交流会、島内観光なども用意しています」と言っている。

   悪石島がある十島村の経済課によると、今回の日食は、村だけでは対応できないため、旅行会社に受け入れを依頼した。そして、企画コンペで大手5~6社の中から選んだ。同課の参事は、こう話す。

「悪天候による苦情などは、こちらでも聞いていません。ダイヤモンドリングなどが見られなかったのは残念でしたが、日食のときは急に暗くなり、歓声と拍手が沸き起こりました。雰囲気は体感できたのではと思っています。島では、交流会などで住民から温かく迎えられて感激したとの声が多かったと、複数の記者から聞きました。最後は、『ありがとう』と涙ぐんだり、手を振ったりする人もおられ、喜んで帰っていただけたと思っています」