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ETC車載器「ブーム去り」8月の販売大幅減

   高速道路の自動料金収受システム(ETC)車載器の売れ行きが鈍ってきた。2009年8月は、前月に比べて17万台も減った。背景には、販売が一巡してきたことや、民主党が政権公約として掲げた「高速道路の原則無料化」が影響しているようだ。カー用品チェーンは「もうブームは去った」とみている。

3月をピークとした「特需」は去った

   道路システム高度化推進機構(ORSE)の調べでは、2009年8月の月次ベースでETC車載器を新たにセットアップしたクルマは、前月に比べて17万5484台減って、68万7517台にとどまった。

   これは、6月の69万8768台をやや下回る水準。それでも、68万台に踏みとどまったのは、「9月の大型連休を見据えた需要が残っていたから」(ディーラーの関係者)と見る向きもある。

   一方、電子情報技術産業協会(JEITA)によると、車載器メーカーの国内出荷実績は6月に86万4000台、7月が98万4000台と、前年比250%超。品薄状態を解消するとともに、お盆のニーズに備えた。

   ただ、生産ラインを増強してまでの対応には至っていない。

   ETC車載器がついたクルマは、8月に3300万台を突破した。イエローハットは「(車載器が)そろそろ行き渡ってきたことが(売れ行きが落ち着いてきた背景に)あると思います。これからは、本当に必要を感じた人が買っていくのでしょう」と、3月をピークとした「特需」は去ったとみている。

8月は問い合わせが減った

   また、民主党の「高速道路、原則無料化」によって、すでに買い控えが始まっているとの指摘もある。民主党が公約どおりに「無料化」を実現すれば、ETC車載器はあまり必要がなくなってしまうからだ。

   埼玉県の、あるディーラーは「春に受けた予約分がようやくはけたのが7月上旬。そこに無料化が出てきて、しかも民主党が勝ちそうだったこともあってか、8月は問い合わせが減った」と明かす。

   ただ、前年比でみるとまだまだ高水準だ。オートバックセブンは、ETC車載器の売り上げについて、「7月は民主党のマニフェストが公表されたものの、お盆に使いたいというニーズがあったため好調に伸びました」と説明。同社は「3月のような、前年比6倍増なんていうことはないですが、それでも8月も前年比で約2.5倍伸びています」という。

   イエローハットは、「品薄のときは、とにかくある商品から売れていったが、平常は価格帯で1万2、3000円の音声対応のものなどが売れ筋です」と話す。8月は前年比3倍増の伸び。同社はその理由を、「9月の大型連休の準備のため」とみている。

   「高速無料化」の影響について、イエローハットは「どうなるのか、よくわかりません。今後の状況をみながらの対応になるのでしょうが、9月以降どうなるのか・・・」と、これまで好調に売れ行きを伸ばしてきただけに心配そうだ。