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欲しい人が多ければ安くなる 「共同購入」サイトが人気

   消費者の財布のひもはまだまだ固く、ちょっとでも安い買い方には敏感だ。そんな中で、注目されているのが「共同購入」という方法だ。買いたい人が集まれば集まるほどに、値段が安くなる仕組みがうけている。

大きくのびているのは食品や日用雑貨

   インターネット通販のネットプライスは2000年3月から、共同購入できる仕組みを整えた。同社はこれを「ギャザリング」と呼んでいる。購入する際、商品を欲しいと思う人数に応じて、価格が安くなるという仕組みだ。たとえば、あるインスタントスープの場合、申込数が1個の価格は588円だが、3個から556円に、10個からでは525円、20個以上では480円という具合に値段が下がる。

   広報の中島英摩さんは、この仕組みを取り入れた理由を「ネットに集まる個人の力を集結させて何かできないかと考え、思いついたアイデア」と話す。サイトでは幅広いジャンルを取り扱っており、ファッションや化粧品、生活雑貨にデジタル機器、高級ブランド品まである。商品は現在およそ1300点を揃え、週がわりで商品がかわるのも特徴だ。

   1週間のうちに、購入者がどれだけ集まるかで値段が決まる。メーカー側は在庫を一気に売ることができるので、割り引いた価格が実現できる。中にはいわゆるワケアリの品――在庫過多や賞味期限が近づいている品などもある。

   会員数は現在190万人を越えた。主な利用者層は30代女性だが、08年秋以降の不況のあおりもあったようだ。

「職業別に統計を取っているわけではありませんが、ここ最近、大きくのびているのは食品や日用雑貨といった消耗品です。どうやら主婦層の利用が増えていると考えられます」

「王将の訳あり3商品激安セット」という商品も

   一方、楽天市場でも2000年8月から「共同購入」のサイトを立ち上げている。

   ここでは、およそ2100店舗がシステムを取り入れている。楽天広報の松本美紀子さんは「最近では食品、スイーツ、ドリンクが人気。これらの商品の売上は、前の年に比べて30%以上伸びています」と話す。もともと共同購入はファッションが中心だったというが08年秋以降、食品にシフトしてきたそうだ。購入者は30~40代の女性が中心だ。

   最近ではさらに、カテゴリー別に商品を集めた企画も実施している。「第一回メガ盛りカップ」では、容量の多い商品ばかりをあつめた特設ページをつくった。09年9月8日まで実施した。たとえば、「王将の訳あり3商品激安セット」という商品は、スタート価格3140円だったのが1980円に下がった。最終的には341個の注文が入っている。この企画は売上もよく、好評だったという。そのため楽天は今後、カテゴリー別にわけた企画を月1~2回の頻度で実施したい考えだ。

   こうしたネットでの共同購入が注目されているのはなぜか。ネットプライスの中島さんは「少しでもモノを安く買おうと、ネットでの購入にチャレンジする人が増えているのでは」と分析している。一方、楽天市場事業・サービス企画部の安西元さんは、「安さ」と「安心」があるからだ、と指摘する。

「安く買いたいことにくわえて、みんなが買っているから大丈夫――購入前にはそんな心理が働くようです。ページ内にはニックネームと購入個数、コメントも付けられます。何もわからないで買うよりも、安心できるというわけです」