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新型インフルエンザの「危険性」 「持病」なくても重症例増える

   新型インフルエンザに感染した沖縄県の24歳の女性が死亡した。重症化しやすいとされる「持病」がなかったにもかかわらずだ。しかし、持病のない人が重症化するケースは意外とある。感染が拡大している沖縄では、死亡した女性を含めて7人の重症患者が出たが、このうち4人に持病はなかった。県は「持病がなくても重症化する可能性がある」と注意を呼びかけている。

沖縄では7人中4人が「持病なし」

   沖縄県は新型インフルエンザに感染した南風原(はえばる)町の女性(24)が2009年9月15日に死亡したと同日に発表した。

   県福祉保健部医務課によると、女性は8月26日から発熱し、医療機関を受診。簡易キットでA型と診断され(後のPCR 検査で新型インフルエンザ陽性を確認)、抗インフルエンザ薬「リレンザ」で自宅治療していたが、発熱が続いて呼吸困難の症状も出たために8月31日に再受診。ウイルス性肺炎による呼吸不全で緊急入院し、集中治療を行った。血管の合併症状が出て9月9日にクモ膜下出血を併発したことが死因となった。

   新型インフルエンザによる死者は感染疑いを含め全国で14人目。しかも女性は24歳と若く、最年少だ。糖尿病などの持病があり重症化して亡くなったケースがほとんどだが、女性に持病はなかった。沖縄県内では他に6人の重症患者が出ていて、このうち13歳と11歳の女児、10カ月の男児にも持病はない。亡くなった女性も含め重症化した7人中4人が「持病なし」だ。県医務課は医療機関などを通じ、「持病がなくても重症化する可能性がある」と県民に注意を呼びかけている。

基礎疾患のなかった入院患者は517人

   厚生労働省によると、新型インフルエンザで入院した患者は全国で9月15日現在892人。年齢別では5~9歳がもっとも多く315人、次いで10~14歳が137人、1~5歳未満が134人と続く。基礎疾患のなかった入院患者は517人もいる。

   持病がなくても重症化するのはどんな場合なのか。国立感染症研究所調整課の担当者は、「国内では症例数が少なく、まだわかっていない」とのことだった。

   厚生労働省新型インフルエンザ対策推進室の担当者は、

「データが少ないので持病がなくても重症化すると言い切ることはできません。ただ、季節性を含めインフルエンザのピークを迎える冬に向けて、国民に何らかのメッセージを出したいと思っています」

と話している。

   抗インフルエンザ薬「タミフル」が効かないウイルスも世界各地で見つかっていて、国内では7例確認されている。沖縄で死亡した女性についても遺伝子検査をしているが、9月16日時点で結果は出ていない。

   さらに、米疾病対策センターはタミフルに耐性のあるウイルスが米国内で人から人へ感染した恐れがあると9月11日に発表した。国内では確認されていないが、もし広がれば重症患者が増えることは間違いなさそうだ。国立感染症研究所調整課の担当者は、「タミフルに耐性のあるウイルスが今後どのくらい出てくるか、現段階ではわからない」といっている。