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不況でも稼働率90%以上! 絶好調ホテルの秘密

   不況の余波で「ホテル離れ」は深刻だ。都内有名ホテルの稼働率は40~60%台と低迷中だ。それでも、稼働率が90%台と健闘しているホテルもある。好調の理由はネットを積極的に活用していることだ。当然、単価は多少落ちるが、お客は確保できるようだ。

ホテル日航東京、京王プラザはネット活用

   ホテル日航東京は2009年7月の稼働率が83.2%(前年同月比16.18ポイント増)、8月は93.9%(同比6ポイント増)と健闘している。好調の理由の1つはネット経由の予約が増えていること。いまでは予約全体の4割がネットだ。自社サイトのほかに、「一休.com」や「yoyaQ.com」といったホテルや旅館の宿泊予約サイトでも販売している。

「自社サイトは告知力が弱いというのが難点でしたが、人気サイトは認知度が高いので広告的な意味合いでも載せています」

というのはホテル日航東京マーケティング部の担当者。

   また、宿泊予約サイトでは、通常価格より安いプランも販売している。オフシーズンや団体客のキャンセルが入ったりした場合に売り出され、ホテルによっては5~7割安くなる。

   ホテル日航東京は、

「これまでのような強気の姿勢では難しくなり、1室あたりの単価は平均4000円下がっています。ただし、単に安くするのではなく、チェックインの時間を遅くするとか、予約期間を24時間に限定するなどの条件をつけることで価格の整合性を図っています」

と説明する。

   京王プラザホテルも7月の稼働率が前年同月比6.4ポイント増の95%、8月95%(同比9.4ポイント増)と好調だ。不況やインフルエンザの影響で業界全体が落ち込んでいるなか、同社は販路を拡大するなどして幅広い客層を呼び込んでいる。

   また京王プラザも「一休.com」で割引プランを販売し、同サイト内のホテルランキングで上位に入る人気ぶりだ。25階以上のリニューアルルームに宿泊でき、館内レストランで使える1万円分のホテル券がついて、1泊1人で1万9000円というお得なプランなどある(販売期間9月13~18日)。

   全国にビジネスホテルを展開するアパホテルの稼働率は7月が67.9%(前年同月比6.4ポイント減)、8月は72%(同比6.5ポイント減)だった。広報担当者は、

「いい数字ではないが、ネット予約が伸びているので同業他社に比べたら稼働率はいいほうです」

といっている。

   予約全体に占めるネット予約の割合は7月が64.5%(前年同月比8.8ポイント増)、8月が60.4%(同比7.9ポイント増)。同社のサイトのほか、「楽天トラベル」や「じゃらんネット」などでも予約できる。

帝国55.8%、オークラ41%、ニューオータニ43.3%

   一方、日本経済新聞社の調査によると、7月の都内主要ホテルの稼働率は帝国ホテル東京が55.8%(前年同月比10.5ポイント減)、ホテルオークラ東京が41%(同比19.5ポイント減)、ホテルニューオータニが43.3%(同比1.1ポイント減)と軒並み苦戦している。1~6月も悪く、帝国ホテル東京は59.6%(前年同月比13.6ポイント減)、ホテルオークラ東京は40.7%(同比11ポイント減)、ホテルニューオータニは34.2%(同比9.2ポイント減)となっている。

   帝国ホテル東京はJ-CASTニュースに対し、

「顧客の多くを占めるビジネス利用の海外のお客様が少なくなり、特にビジネスシーズンでは減少幅が大きくなっています」

と話している。また、客室を減らす改修工事を行ったため、実際の稼働率は日経調査よりもよく、7月は60%(前年同月比6.3ポイント減)だといっている。

   ホテルニューオータニは、「客室数が1479と他のホテルに比べて多いので、稼働率だけで一概には言えない」とコメントしているが、不況の余波を受けていることは間違いなさそうだ。

   都内大手ホテルの関係者は、

「景気が後退して企業が出張を控え、メイン客となる海外のビジネスマンが減っていますから、どこのホテルも似たような状況だと思います。訪日外国人が08年より3割ほど減っていますので、仕方ないですね」

といっている。