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コラーゲン飲料戦争が過熱 化粧品メーカー続々参入

   コラーゲンを摂取すると美肌になると言われ、鳥や豚のコラーゲンをスープに溶かした「コラーゲン鍋」が女性に人気を呼んでいる。もっと手軽に摂れるのがコラーゲン飲料で、化粧品会社からいろんなタイプが出ている。

   資生堂はコラーゲン飲料の売上げが前年より2、3割増になっている。カネボウ化粧品は新商品の初年度売上げ目標を半年で達成する見込みだ。新たにノエビアも年内に販売を始める予定で、コラーゲン飲料戦争が過熱している。

資生堂、コラーゲン売上高は100億円

   コラーゲン飲料を13年間発売している資生堂は年々売上げを伸ばし、2008年度のコラーゲン飲料(ドリンク、タブレット)の売上高が100億円だった。09年3月にドラッグストア、化粧品専門店で異なっていたブランド名を「資生堂 ザ・コラーゲン」に統一し、一層のブランド認知を図っている。同社広報担当者は、

「09年3月以降、前年比120~130%の売上げをキープしています。このままいけば09年度の売上高は前年比20%増になるのではないかと期待しています」

   と話す。

   コラーゲンはタンパク質の一種なので、摂りすぎると太る恐れがある。そこで同社の製品は、コラーゲンをたくさん取り入れるという発想ではなく、コラーゲンを作り出す線維芽細胞の働きをよくするという点に着目した。

   カネボウ化粧品は、30歳代をコアターゲットにした美容ドリンク「コラーゲン ディープイン」を09年5月から発売している。成長ホルモンの分泌がもっとも多くなる就寝中にコラーゲンがつくられると言われていて、同品は寝る前の飲用を勧めている。

   夜の飲用を勧めるコラーゲン飲料は珍しく、わかりやすいコンセプトが女性にうけて、初年度販売目標の4億円を10月末に達成する見通しだ。年間販売目標を1.6倍の6億4000万円に上方修正した。

   化粧品会社のノエビアもコラーゲン飲料の販売を12月末に始める。通販化粧品会社のファンケル、DHCなどでもコラーゲン飲料を売り出しているほか、明治製菓といった食品会社からもコラーゲン飲料が発売されている。

美肌効果がないとも言えない?

   コラーゲンはタンパク質の一種で、アミノ酸に分解されて体内に吸収される。タンパク質が足りていない部分に吸収されるため、必ず肌に届くとは限らない。にもかかわらず、コラーゲンを飲んで美肌になるというイメージが先行しているのが現状だ。

   とはいえ、美肌効果がまったくないとも言えないようだ。京都府立大学生命環境科学研究科の佐藤健司教授は、コラーゲンが肌に影響を与えるメカニズムを解明した。コラーゲンに多く含まれるアミノ酸の一種、ヒドロキシプロリンとプロリンが結びついたペプチド(アミノ酸化合物)が、血中で長時間にわたって増えることを突き止め、09年1月に米国化学会の学術誌に発表した。さらにマウスの皮膚細胞で調べたところ、ペプチドにはコラーゲンを作り、傷を修復する働きをする線維芽細胞の働きをサポートすることもわかった。

   佐藤教授は、

「ネズミの皮膚を使った研究なので、人間の場合も同様であるかはわかりません。また、この実験で線維芽細胞が傷のある皮膚の部分で増えましたが、なぜ増えたのかというメカニズムを突き止めるための研究を進めています」

   と話している。