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ツカサネット新聞も「休止」 「市民記者」存続に危機感

   「市民記者」によるニュースサイト、ツカサネット新聞が2009年11月末でサービスを「一時休止」する。理由は「システムの変更・改良」のためとしているが、再開は「未定」だという。市民メディアでは、09年4月にオーマイライフ(旧オーマイニュース)が閉鎖されるなど厳しい状況にあり、市民記者の間に危機感が漂っている。

システム変更・改良のための「一時休止」

11月末で休止するツカサネット新聞
11月末で休止するツカサネット新聞

   ツカサネット新聞は、マンスリーマンションやレンタルオフィスなど、不動産業を展開するツカサ都心開発によって運営されている。誰でも無料で記者登録ができ、記事を投稿することができる、いわゆる「市民メディア」として05年7月にオープンした。

   郵政民営化、リーマンショックといった堅い話から、夕食のレシピといった「ブログ感覚」の記事まで、幅広いジャンルを扱っているのが特徴。11月10日16時現在の記事別アクセスランキングは1位「セックスは、なぜ気持ちいいのか?」、2位「新潟県がプロ野球を誘致」、3位「鳩山恐慌の懸念」となっている。

   07年8月にはヤフーに、08年4月にはライブドアにも記事配信を始めるなど、着々と「市民メディア」として成長してきたようにも見えたが、09年11月5日、サービス休止を発表した。「ツカサインターネット事業のさらなる改善とサービス向上のため、システムの変更・改良を行うことを決定しました」といい、これに伴いサービスを11月30日に「一時休止」する。再開時期に関しては「未定」としている。

   既に10月30日には記事投稿の受付を終了したほか、休止後は記事の閲覧ができなくなることから、記者に対して記事データの返却受付も始めている。記事が掲載された際にもらえる「ポイント」換金も11月30日まで申請を受け付ける。

   11月9日、同じ市民記者ニュースサイト「JanJan」に、「10か月投稿してきたツカサネット新聞が『休止』して」という記事が投稿された。筆者は、ツカサネット新聞に「北京老学生」の名前で記者登録していた柴田勉さんという人だ。

ヤフーニュースへの配信停止が響いた?

   記事によると、中国に留学している柴田さんは09年1月からツカサネット新聞に投稿を始め、10月初旬までに70本の記事が掲載された。中国の現地事情や日本の政治が主なテーマで、原稿料はこの70本分で2万7200円。記事1本に対して300~500円程度だったが、中国在住なので実質貨幣価値が6倍程度だったと振り返る。

   また、サービス休止については、ヤフーニュースへの配信が停止されたことで、アクセスが低下したためでは、と推測する。「想像を出ない部分もあるが、記事と称されるものが主観的で、配信に値しないものと受け止められたからであろう」ともしている。

   ヤフージャパンの広報担当者によると、09年6月末に、ヤフーニュースにあった、市民メディアからの配信をまとめた「パブリックニュース」というコーナーが閉鎖された。それに伴い、ツカサネット新聞と、マイニュースジャパンとの契約を打ち切ったという。

   11月9日、JanJanに「休止」を惜しむ記事が投稿された。筆者は、法律問題に関する著書を出している林田力さん。ツカサネット新聞、JanJanの両方で記事を書いていたが、ツカサは、投稿された記事に編集の手がほとんど入らないなど、市民メディアとしてのユニークな点がいくつかあったと評価、サービス休止に関しては「寂しいものがある」という。雑誌では復刊の見込みがなくても廃刊ではなく休刊とするが、「ツカサネット新聞の一時休止は、そのようなマスメディアの常識とは異なる意味であることを期待する」としている。

   また、市民メディア「PJ NEWS」にも「ツカサネットよおまえもか!!」という記事が8日、掲載された。サービス一時休止を「再開を期すとなっていますがその時期の明示はなく永久休止になる可能性もあります」と懸念している。

   ツカサ都心開発の広報担当者は

「発表にある通りです。システムの改善のためにお時間を頂きます。再開時期は現時点では未定です」

と言っている。