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「トマト鍋」が大人気 産地でもPRに力注ぐ

   「トマト鍋」が人気を集めている。カゴメではトマト鍋用のスープの売上高が、5か月で目標値を大きく超える7億円を達成した。一方、トマトの産地でも冬の消費量を増やそうと、PRに奔走し始めた。

   カゴメは2010年1月25日、09年7月に売り出した「甘熟トマト鍋 鍋用スープ」の売上高が5か月で、約7億6000万円に達したことを発表した。しかも、はじめは10年春頃までに2億円を目標としていたのが前倒しで達成。「トマト鍋」は圧倒的な人気を集めていたようだ。

トマト鍋、2009年10月頃から話題に

カゴメのオオスメ「締めのオムライス」はいかが
カゴメのオオスメ「締めのオムライス」はいかが

   では、いつ頃から話題になっていたのだろうか――。ブログで多く語られているキーワードを紹介するサイト「kizasi.jp」を見ると、右肩上がりに伸び始めたのは2010年9月25日~10月1日頃。そして11月20日~26日にはピークを迎え、実に671件の書き込みがあった。ヤフー検索ランキング内のコラム「トレンドサーフィン」が書いた10月27日の記事によると、10月1日にテレビ番組で紹介されたのを機に、検索数が急上昇したと分析されている。

   カゴメ広報IR部は「今の内食志向、節約志向にマッチしてファミリー層に人気があります」と話す。商品化の際、とりわけカゴメが着目していたのは、主婦の悩みでもある子どもの野菜嫌いだったという。「このスープは完熟とあるように、甘く煮付けてありますから子どもでも大丈夫。それがうけたのだと思います。ちなみにオススメは、鍋の締めにご飯と卵をくわえてたオムライスです」

   トマト鍋の食べ方には、チーズやウインナーを入る「ナポリタン風鍋」、チーズとバジルで味付けする「ピザ鍋」、おでんの具を入れる「トマトおでん鍋」などがよくあう。個人のブログで評判をさぐってみると、「シメはとろけるチーズと溶き卵でオムライス風リゾットにしました」「初めての味癖になりそー 残ったダシに明日朝パスタを入れようっと」「ラストは残りのお出汁でスープパスタか、春雨を投入して食べるのも美味しい」などとあって、締めの食べ方にもアレンジが効くのが人気の秘密なのかもしれない。

トマト+キムチでまろやかな味に

   一方、「トマトキムチ鍋」を提案しているのがトマトの産地として知られる宮崎県だ。

「もともと冬場のトマト消費量は減ってしまうんです。これは食べ方の問題です。日本ではサラダなど生で食べる機会が多いと思います。そんな状況を打開したい、冬にもトマトを召し上がっていただきたいと智恵を絞ったわけです。それがトマトキムチ鍋でした」

   JA宮崎経済連の担当者はこう話す。実はこの食べ方を提案したのは2009年1月頃。熊本県と福岡県、そしてエバラ食品が協力しながら、ブームに先駆けてPRしてきたという。三県のスーパー約100店舗で実演販売したところ、好評だったという。そして2010年1月19日には、東京都にある中央卸売市場大田市場で関係者向けに、トマトキムチ鍋試食会を開催した。はじめは700食程度を予定していたのが、最終的には950食が振る舞われ、評判も上々だった。

「4人分で大きいトマト2個使うのが目安。キムチ鍋ではやや辛いのが、トマトを加えることで酸味とあわさって味がまろやかになります。辛さも薄まるので子どもでもいけると思います」