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プラズマTV市場活気付く パナソニック「3D」「高画質」でテコ入れ

   液晶に押され気味だったプラズマテレビ市場が活況を呈している。プラズマは家庭用3D(立体)テレビを可能にする技術を備え、「次世代TV」としても注目されている。さらに、3Dを可能にした映像技術を通常型(2D)のプラズマTVに使うなど、優れた高画質性能を強調してテコ入れを図っている。

   薄型テレビ市場は、エコポイント効果や、2011年7月のデジタル放送への移行を控え、好調だ。

エコポイント導入後は、伸び率で液晶上回る

好調なプラズマTV(写真はパナソニックの「VIERA」シリーズ)
好調なプラズマTV(写真はパナソニックの「VIERA」シリーズ)

   薄型テレビ(液晶+プラズマ)の販売台数は、2010年1月で前年同月比73.8%の大幅増。金額でも49.2%増と、急拡大している。調査にあたったBCNによると、「テレビの薄型化、大型化のスピードはエコポイントの影響で速まっている」とのことで、40型以上の大型テレビの台数構成比は、前年1月の20.5%から27.6%と、全体の4分の1以上を占めるようになった。

   この「大型化」が、プラズマTVに追い風となった。もともと、自発光型プラズマディスプレイパネル(PDP)を採用しているため、「黒」のコントラストがはっきり映る。液晶TVの欠点とされる、テレビを見る角度によって映像が薄く見えたり、残光による見にくさが出たりする点をなくし、大画面でもクリアに見えることが評価されている。

   価格面でも液晶TVとほとんど差がなくなっていて、BCNのアナリスト・森英二氏は「50型以上の大きさではプラズマTVのほうが安いくらいで、40型台でも09年夏にはほぼ同じくらい。エコポイント導入後は、伸び率では液晶TVを上回っています」と話している。

   さらに、プラズマを後押しするのが最近の3Dブームだ。画像が飛び出すように、立体的に見える3D映像は、左眼、右眼の交互に再生される映像を、専用のメガネを通じて見る。左右の映像が重なってぼやけてしまわないように、左眼と右眼の映像を従来の通常型テレビの2倍となる1秒120コマで交互に、かつ残光を少なくして映し出す必要がある。このため、表示の応答速度を速める必要があり、プラズマディスプレイであれば簡単にできるというわけだ。

3Dに使える技術を通常型にも搭載

「黒」の表現力と描写力を訴求したテレビCM
「黒」の表現力と描写力を訴求したテレビCM

   こうした中、パナソニックは2010年3月5日に通常型(2D)プラズマTV「VIERA V2シリーズ」を発売。新技術を用いた「フル・ブラックパネル」を搭載しているのが売りものだ。

   従来のプラズマディスプレイよりも発光効率を4倍にしたことで、3D映像を表示できるほどの、きわめて優れた高画質を実現。その技術を、あえて2DプラズマTVに使った。「黒を極め、明るい場所でもはっきりと黒の違いがわかる。今回の新しいCMでも、かつてないビエラの黒を表現している」(パナソニック)という。

   3D映像は臨場感や迫力を伝えたいスポーツや映画などに適しているが、「家庭用に3Dまでは求めない」といった人にも3Dに近い、リアルな映像を楽しめるようにした。同社は、「従来から大画面こそプラズマ、という事業戦略で商品展開している。この好機に新商品を投入する意義は大きい」と意欲的だ。2DプラズマTVが「高画質」にこだわるユーザーを射止められるか、注目される。

   一方、パナソニックは「フル・ブラックパネル」を搭載した家庭用3DプラズマTV「3D VIERA」を4月に投入する予定。家庭用3Dにはすでに韓国のサムスンやLG電子も参入を表明している。