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ホンダのHVスポーツカー「CR-Z」 カーオブザイヤーの最有力候補に

   ホンダが世界初のハイブリッド(HV)スポーツカー「CR-Z」を2010年2月26日に国内で発売し、反響を呼んでいる。ホンダは「本当に乗りたいハイブリッドカーを選べているだろうか」「ハイブリッドはエコで終わるな」など、ライバルのトヨタ自動車のプリウスを意識したともとれる挑発的なCMを展開する。

   若者の自動車離れが叫ばれる時代に敢えてホンダが放つ渾身の1台だけに、その走りと燃費の両立、未来的なデザインには新時代へのメッセージを感じるとの声が多い。CR-Zが2010年のカーオブザイヤーの最有力候補となるのは間違いないとの気の早い声が沸きあがっている。

エンジンとモーターの組み合わせで、高出力、低燃費、クリーンを達成

 ホンダのHVスポーツカー「CR-Z」
ホンダのHVスポーツカー「CR-Z」

   ホンダによると、「CR-Z」は「Compact Renaissance Zero(コンパクト・ルネッサンス・ゼロ)」の略。「従来の価値にとらわれず、新しいコンパクトカーを創造するという志のもと、原点(ゼロ)に立ち返ってチャレンジする、という意を込めた」という。具体的には1.5L(リットル)のガソリンエンジンにホンダ独創のハイブリッドシステムを組み合わせ、10.15モードでリッター25.0キロの低燃費と俊敏な走りを実現した。

   注目すべきは、エンジン、モーター、トランスミッション、電動パワーステアリング、エアコンなどを統合制御することで、積極的に走りを楽しむ「SPORTモード」、走りと燃費性能のバランスに優れた「NORMALモード」、実用燃費向上を図る「ECONモード」を選択できる点だ。

   ホンダによると、このエンジンとモーターの組み合わせで、高出力、低燃費、クリーン性能を高次元で達成し、「1.5Lエンジンながら2.0Lエンジン並みの加速性能と圧倒的な低速トルクを実現した」という。スポーツカーには定番の6速マニュアルミッションも、HVでは世界で初めて搭載。メーカー希望小売価格(2タイプ)は226万8000円と249万8000円だ。

CR-Zに対抗、トヨタもプリウススポーツクーペを投入

   この価格帯で、これだけの性能をもつHVを市販できるメーカーは現時点で世界でもトヨタとホンダに限られており、スポーツカーはホンダの独壇場といえる。環境に配慮したエコなライトウエイトスポーツカーは、若者はもちろん、子育てを終えた熟年カップルなどがターゲットだ。クルマ好きのユーザーの間では「トヨタプリウスやホンダインサイトなどHVは燃費は良いが、運転しても楽しくない」という声があった。ホンダらしいスポーツ心と革新性をもったCR-Zの登場で、スポーツカーとHVに対するユーザーの価値観が変わる可能性がある。

   CR-Zの国内販売は月間1000台が目標だ。スポーツカーとしては高めのこの目標を、実際にどこまでクリアできるのか、市場の反応が気になるところだ。2010年はエコカーの新車ラッシュが予想される。ホンダは3月にも量販小型車「フィット」にHVを投入。秋には日産が電気自動車「リーフ」のほか、高級車「フーガ」のHVを発売。トヨタもCR-Zに対抗し、秋にもプリウスのスポーツクーペを投入するとみられる。トヨタはリコール(回収・無償修理)問題など不安要素があるが、エコカー開発は各社がしのぎを削っている。その開発競争に先鞭をつけ、革新的な商品を提案したという点で、CR-Zが2010年のカーオブザ―イヤーの筆頭候補にノミネートされるのは間違いなさそうだ。