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グーグルが六本木ヒルズに移転 勝ち組企業「ヒルズ族」が復権?

   インターネット検索大手のグーグルが「六本木ヒルズ族」に仲間入りする。東京・渋谷のセルリアンタワーにある東京オフィスを引き払い、2010年夏にも六本木ヒルズ森タワーに移転する予定だ。

   六本木ヒルズといえば、かつて入居者は「勝ち組企業」の象徴だった。それがライブドア事件などのイメージダウンや、リーマン・ショック後の世界的な景気悪化の影響で人気に陰りが見えていた。08年3月期の入居率は85%にとどまっていたが、09年後半から外資系企業を中心に入居が相次ぎ、急速に巻き返している。

ライブドア事件、リーマン・ショックでイメージダウン

グーグルも「六本木ヒルズ族」の仲間入り
グーグルも「六本木ヒルズ族」の仲間入り

   2003年4月にオープンした六本木ヒルズ。当初はヤフーやライブドア、楽天などの錚々たるIT企業やベンチャー企業、投資ファンドが入居。ヒルズの住居棟には、ライブドアの堀江貴文社長(当時)や楽天の三木谷浩史社長、サイバーエージェントの藤田晋社長といった成功した起業家が住み、「ヒルズ族」と呼ばれて話題をさらった。

   しかし、その後のライブドア事件やグッドウィルグループの介護報酬の不正請求事件、08年9月のリーマン・ブラザーズ証券の経営破たんなどの影響でイメージダウン。さらには世界同時不況と、丸の内や品川、汐留などの大規模開発によるオフィスタワーとの競争激化によって、苦戦を強いられた。

   「いつかはヒルズ族」というIT企業は少なくなかったが、一方でヤフーはミッドタウンタワー(赤坂)に、楽天も品川シーサイド楽天タワー、ライブドアも西新宿に移転。また、「特打シリーズ」や「驚速シリーズ」などのパソコン・カスタマイズソフトのソースネクストは09年11月、虎ノ門森ビルに移った。オフィス賃料を10年3月期に約1億円、来期以降に年間2億円削減できるというのが理由だったという。

外資系の「大物」が相次ぎ入居

   それでも、IT企業や外資系企業がなお多く集まる。IT企業では、サイバードホールディングスやBaidu(百度)が、外資系企業では米大手証券のゴールドマン・サックスや、法律事務所などがオフィスを構える。

   森ビルは、「09年後半から、上向きになっています」と話す。入居する企業の中心は外資系だ。英大手金融グループのバークレイズ日本法人が入居。企業の経営課題の解決を支援するソフトウェアを提供するSAS Instituteジャパンも引っ越してきた。

   世界的な化学品メーカーのBASFの日本法人、BASFジャパンは09年8月に移転してきた。関連会社を含め、都内に分散していたオフィスを集約して事業の効率化を図った。

   森ビルは10年3月期の目標入居率の95%の達成も視野に入っているようで、「業務の効率化や将来的な事業拡張をにらんで、いち早く、戦略的にオフィスを考えている企業が移ってきているようです」と表情も明るい。

   そして、グーグルだ。いまのオフィスが手狭になってきたため、移転先を探していた。同社はオフィスの移転について、「準備を進めているところです。ただ、時期などについては現段階でお話しできません」という。

   グーグルが六本木ヒルズの新たな「目玉」になることは間違いなく、「ヒルズ復権」もそう遠くない。