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ルノー・日産とダイムラー  「残りもの連合」成功の条件

   仏ルノーと日産自動車と独ダイムラーが、株式持合いを含む提携を目指して、最終局面にさしかかっている。3社連合が実現すれば、部品の共通化などコスト削減に加え、電気自動車など環境技術でも協力する考えだ。

   ただ、資本提携を含む連合といっても、持ち合う株式の比率は5%未満とみられ、「その程度の緩やかな関係でどこまで提携効果が出せるのか」(業界筋)と、冷ややかな見方も出ている。

ルノーと日産がダイムラー株を数%取得?

   2009年末、ルノーとダイムラーの提携交渉が発覚し、その後、ルノーが44%の株を持つ日産も交渉に加え、3社連合の方向に進んでいる。ルノー会長でもある日産のカルロス・ゴーン社長が3月末、日産首脳陣に、ルノーが進めてきたダイムラーとの交渉内容を説明したという。

   最終調整中の提携内容は、ルノーと日産がそれぞれダイムラーと数%ずつの株式を持ち合うのが柱で、比率は3%程度になるとみられる。その上で、部品や車台の共通化、環境技術の開発での協力を進める。日産は、電気自動車や充電地など得意分野でダイムラーに技術協力して巨額な開発資金負担を軽減でき、逆にダイムラーが強い低公害型のディーゼルエンジンの技術を活用できる、またダイムラーは、弱点の小型車についてルノー・日産のノウハウを活用できるなど、相互の得意技術を融通しあうメリットがあるようだ。

   「こうしたトップシークレットの技術情報を開示しあうには、一定の資本関係を築く必要がある」(業界関係者)というのが、株式持合いまでしようという理由だという。

最近は弱点補い合う緩やかな提携が主流

   ダイムラーは98年に米クライスラーと一度は合併しながら、失敗して「離婚」するという記憶が生々しいことも、出資比率を数%にとどめる一因といわれる。

   自動車業界は90年代に「生き残りの最低ラインは400万台」などといわれて大型合併が相次いだが、最近は互いの弱点を補い合う緩やかな提携が主流。伊フィアットの米クライスラー買収は例外で、スズキと独フォルクスワーゲン(VW)の提携は、VWがスズキ株の20%を保有するにとどまり、トヨタは資本提携なしにハイブリッド(HV)技術をマツダに供与することで合意した。三菱自動車は仏プジョー・シトロエン(PSA)からの出資受け入れを狙ったが、条件が折り合わずに業務提携にとどまった。

   日産・ルノーとダイムラーの連合は、世界主要メーカー間の合従連衡の組み合わせの中で、組み合わせが決まっていなかったもの同士がくっつく形で、いわば「残りもの連合」(大手メーカー関係者)。たった数%の持ち合いで長期的に関係を維持できるのかは未知数で、どれだけ早く成果を出せるかが成功のカギを握っている。