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新生・あおぞら合併白紙撤回 「発表カウントダウン」の見方も出る

   2010年10月にあおぞら銀行との合併を予定していた新生銀行が、10年3月期に1000億円規模の連結最終赤字に陥る見通しになった。これを受けて両行は合併を白紙に戻す方針を固め、今後は営業面で業務提携することで、合併を主導してきた金融庁の顔を立てたい考えだ。09年7月の合併基本合意以来、迷走してきた両行の統合交渉は、破談の正式発表に向けカウントダウンに入ったとの見方が強まっている。

   新生銀は10年3月期に100億円の連結最終黒字を予想していたが、09年11月からの金融庁検査で、不動産関連融資や消費者金融子会社の過払い利息返還に関する引き当て不足を指摘された模様だ。09年3月期の約2400億円の最終赤字に続き、2期連続で損失を計上する見通しとなった。

新生銀巨額の赤字を計上が影響か

   09年7月以降、両行は統合委員会で合併行の経営方針などを協議してきたが、今年に入って話し合いは暗礁に乗り上げていた。消費者金融を収益の柱に掲げる新生に対し、あおぞらは地方銀行との連携を軸に中堅、中小企業との取引を強化する方針を主張。新銀行の名称やシステムをどちらに統一するかなど、実務面のすり合わせも進まなかった。08年秋以降の金融危機が収束して両行の資金繰り不安が解消したこともあり、合併に向けた機運はすっかり低下していた。

   そこへ新生銀が巨額の赤字を計上する見通しとなったことが、破談へのダメ押しになったかっこうだ。あおぞらを傘下に持つ米ファンド、サーベラスは、当初合意していた1対1の合併比率を、財務状態に合わせてあおぞら銀に有利に見直すよう要求したが、新生銀の筆頭株主の米ファンド「JCフラワーズ」は応じなかったという。

   関係者によると、新生銀の1000億円規模の赤字見通しが報じられた4月14日、両行幹部が金融庁に呼ばれ、合併が困難な状況を報告した。合併をおぜん立てした金融庁は引き続き合併に向けて努力するよう促す一方、破談した場合は業務提携などで関係を維持するよう要請したという。

両行とも単独での生き残りは厳しい?

   新生銀は国から投入された公的資金の返済が約2200億円残っており、業績が2期連続で計画を3割以上下回れば、国から経営責任を問われる。八城政基会長兼社長(81)は10月の合併を花道に退任する意向だったが、引責辞任に追い込まれる形となった。

   後任トップの就任には、旧第一勧業銀行(現みずほ銀行、みずほコーポレート銀行)OBで、現在はいすゞ取締役の当麻茂樹氏(61)が前向きな意向を示している。当麻氏にたどりつくまで、後任選びは難航し、大蔵省(現財務省)やメガバンクOBの名が次々に浮上。最近は銀行経営に無縁の商社OBまで候補に挙がっていた。

   当麻氏はヘッドハンティング会社を通じ、3月にトップ就任の打診を受けた。周辺によると、すでに単独での生き残りを目指して経営戦略を描き始めているようだ。

   だが、新生銀、あおぞら銀とも収益力や資金調達力に不安が残り、「単独での生き残りは厳しいと言わざるをえない」(日銀筋)。両行とも新たな統合相手探しに関心を示しているといい、再編劇の幕が再び上がる可能性もある。