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赤松農水相の動画に非難殺到 にやけた表情で「早く殺せって言ってる」

   赤松広隆農水相が記者団から宮崎県の家畜伝染病・口蹄疫について質問された際に、「だから早く殺せって言ってるのよ」と、にやけたような表情で答えている姿が動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップされ、大ブーイングに発展している。動画は25万回以上も閲覧されていて、批判のコメントが殺到している。

   2010年5月28日に宮崎県家畜改良事業団の種牛49頭のうち2頭の発症が発覚した時のもので、記者団から、赤松大臣にこうした事実を把握しているのかどうかの質問が向けられた。この際、笑いながら「いや、知らない~」と答え、あとはにやけた表情で「だから早く殺せって言ってるのよ」と吐き捨てた。

東国原知事もツイッターで大臣の認識嘆く

   「ユーチューブ」のこの動画に対するコメント欄には、

「『命を奪う』という言葉は、笑いながら言えるものではない。常軌を逸している」
「政治家として云々より人間として心底軽蔑する。種牛は宮崎県民が何年も時間をかけて丁寧に育てた大切な牛なんだぞ!農家の人にとっては家族同然の存在なんだぞ!」

といった批判が殺到している。

   東国原宮崎県知事は、10年5月29日に「ツイッター」で、赤松大臣のこうした態度に対し、

「残念ながら、大臣が、だから早く殺せと言ったんだと笑いながら仰ったくらいの認識しか国には無いのです」

と今回の口蹄疫問題に対する国の認識の低さを嘆いた。

   今回の口蹄疫で殺処分されるのは、発病した牛と、発病していなくてもワクチン接種後に殺処分される牛を含め15万頭以上になると見られている。2010年5月31日に全頭殺処分される予定の種牛49頭は次世代を担う若い種牛が中心で、最高品質の子牛約22万頭を生み出した伝説の種牛「安平」も含まれている。ただし、殺処分が終わったとしても問題は山積み。農場で働いていた従業員の仕事が無くなり、酪農家は経営を再建するため一から牛を育てていかなければならない。

「もう、辞任して頂けないでしょうかね?」

   口蹄疫問題に対する政府の無関心さと無責任さ、酪農家に対する支援を呼び掛けてきた川南町で酪農を営む弥永睦雄さんは、10年5月30日付けのブログで、

「赤松さん もう、辞任して頂けないでしょうかね?もう、あなた方には、この日本を守って行く力は無いと思います」

と書いた。この日、赤松大臣が宮崎県を訪れたが、訪問先は県庁や国の出先機関だけで、最大の感染地である弥永さんが暮らす川南町には来なかった。

   弥永さんはJ-CASTニュースの取材に対し、赤松大臣の今回の宮崎訪問は、大臣として仕事をしているというアリバイ作りにすぎず、先の動画での態度と同じように、宮崎の畜産家のことをまるで考えていない無責任な人物だ、と怒っている。

「国は牛を殺せ殺せと言ってくるが、まだ補償は何も決まっておらず畜産家は途方に暮れている。そればかりか、被害が拡大したのは政府の初動が遅れたからにもかかわらず、宮崎の畜産家のせい、と取れる発言まで出る始末。赤松大臣の動画はまさにその現実を示すもの。政治家どころか人間の資格すらない」