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オールドファンに支えられ59年間 上野の名物ピンク映画館閉館

   東京・上野の名物ピンク映画館「上野オークラ劇場」が2010年8月上旬、59年の歴史に幕を一旦閉じる。そして、現在の建物の約20メートル先でバリアフリーの新ピンク映画館として生まれ変わる。

   上野オークラ劇場は、1951年ごろ、東映の封切館「上野公楽座」として誕生した。現在の建物は当時のもので、「昭和の味を色濃く残す」(同劇場)存在となっている。

ピンク映画第1号「肉体の市場」を上映

   同劇場によると、日本製ピンク映画第1号とされる「肉体の市場」を62年に上映し、ピンク映画館としての歴史が始まった。

   「今でもオールドファンの方々が多くご来場頂き、中には車いすや杖をついたお客さんもいます」。同劇場によると、今でも週替わりで3本のピンク映画を上映しており、1週間に約2000人が訪れているという。

   1970年代にピークを迎えたピンク映画人気は、ビデオやDVDの浸透などで衰え、ピンク映画館数は下降傾向を続けている。業界関係者によると、人気のピーク時は全国で約300館あったピンク映画館は、今では70館か80館程度まで減少しているという。そんな中、同劇場は「日本製ピンク第1号上映」の頃からのオールドファンが根付き、支えられてきた形だ。

女性限定でピンク映画の鑑賞会

   劇場の建物自体に郷愁を感じるファンもいるが、劇場内の階段の上り下りがままならないオールドファンも増える中、老朽化対応のため新館への衣替えを決めた。車いすなどの通行に配慮したバリアフリー設計にするほか、難聴気味の人へのヘッドホーン貸し出しなども導入する。建物も現在の2スクリーン(画面)から3スクリーンへと拡大する。延べの収容人数は、新旧館とも250人弱で変わらない予定だ。

   同劇場では、新館のバリアフリー化でオールドファンに喜んでもらうだけでなく、照明なども明るいものにし、若い世代にも足を運んでもらえる劇場にしたい、と意気込んでいる。

   新館では、オープン前の行事として10年8月1日に女性限定でピンク映画の鑑賞会も開く。一方、7月末には旧館で「新怪談色欲外道 お岩の怨霊四谷怪談」(1976年)など「上映回数の少なかったレアな」ピンク映画を特別上映する。