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中国初の持ち帰り弁当出店 プレナス5年で200店舗

   持ち帰り弁当店「Hotto Motto(ほっともっと)」を展開するプレナス(本社・福岡市)が中国で「ほっともっと」を展開する。2010年7月29日にオープンする中国第1号店(北京市)は、同社初の海外店舗になる。同社によると、日本の持ち帰り弁当店で中国に進出するのは初めてという。

   日本の食文化である「弁当」は、日本企業の積極的な中国進出に伴い、中国人にも知られるようになった。しかし、未知数な部分も多く、プレナスの手腕が試される。

日本スタイルの弁当にはなじみがない

   プレナスは中国の食品加工会社と合弁で現地法人を設立。第1号店は、中国のシリコンバレーと呼ばれる北京市海淀区中関村地区のオフィスビル1階に開き、中間層以上のビジネスマンを主なターゲットとする。中国でのブランド名は「中国で好まれる食の道を進む」という意味を込めて、「Hotto Motto好麦道(ハオマイダオ)」と名付けた。

   提供する弁当メニューは、日本で販売しているのと同じ14種類。使用するコメは、中国で一般的に食べられる「長粒種」ではなく、粘りがある「ジャポニカ種」とし、日本の弁当の味を中国にそのまま持ち込む方針だ。

   しかし、中国人は元来、日本スタイルの弁当にはなじみがないとされる。「中国人は暖かい食べ物が好き。冷たい食べ物には抵抗感がある」(外食関係者)ためだ。調理したてではなく、冷たい食べ物は衛生上や安全性の心配があるため、とも言われる。だが日本式の持ち帰り弁当はここ数年、徐々に中国人にも受け入れられるようになってきた。コンビニエンスストア各社の奮闘の結果ともいえる。

   セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートなど日本のコンビニ各社は、中国の規制緩和や個人所得の増加という波に乗り、続々と中国に進出、好調に売り上げを伸ばしている。各社が中国で扱っているのは日本と同様に、飲料や菓子のほか、サンドイッチやおにぎり、弁当だ。特におにぎりは「定番商品」になっている店もあるという。「弁当はおにぎりに比べ出遅れている」(関係者)とも言われるが、一部では「若者が流行として食べている」との声もある。

おにぎり、弁当が普及したは、コンビニ各社の努力

   元々中国文化にはない、おにぎりや弁当を中国人に受け入れさせたのは、コンビニ各社の努力がある。冷たい食べ物でも安全だ、との意識を浸透させるため、店内を清潔にする対策を徹底。店舗によっては店内で弁当の最終仕上げをして見せるなど、工夫も重ねた。

   プレナスはこうしたコンビニの展開も見据え、「持ち帰り弁当の需要はある」と判断。本川嘉史副社長は記者会見で、「便利さを感じてもらえれば、十分受け入れられると思う」と述べた。また、単に日本式をそのまま持ち込むのではなく、持ち帰りに抵抗感がある顧客に配慮し、店内でも食べられる形態にするなど、中国に応じた取り組みもする。

   プレナスは「需要の多い朝食メニューや、宅配サービスも検討したい」とし、さまざまな試みを考案中で、今後5年間で中国全土に200店舗を出店する計画だ。ただ、中国で人気のおにぎりをはじめ、さまざまな商品を扱うコンビニに対し、プレナスは持ち帰り弁当専門で、中国の未開拓分野へ分け入る難しい仕事だ。少子高齢化で日本市場の拡大が見込めない中、中国市場に期待する外食産業は多く、同社の挑戦は注目を集めそうだ。