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住みたいまちNo.1「吉祥寺」が若返り 商業施設続々リニューアル

   「住みたいまちナンバーワン」の東京・吉祥寺が、駅前を中心に大きく生まれ変わろうとしている。古くなった駅や駅ビルをリニューアルしてまちを若返らせ、「安全で歩いて楽しいまち」にする狙いがある。商業施設も続々とオープンする。

   伊勢丹吉祥寺店跡地のビルに2010年10月にオープンする複合商業施設の名称が、「コピス吉祥寺」に決まった。武蔵野市開発公社(武蔵野市)と三菱商事都市開発(渋谷区)が7月26日に発表した。

「H&M」は入居しない

「コピス吉祥寺」のロゴ
「コピス吉祥寺」のロゴ

   「コピス」は英語で「雑木林・小さな森」という意味で、「いろんな木々が集まる楽しい森」をイメージした。コンセプトは「吉祥寺スタイル・コミュニティー」。地域の人々が気軽に立ち寄れる「時間消費型・滞在型商業施設」と位置づけ、「街の中核」となる施設を目指す。ターゲットは20歳代後半から30歳代前半のニューファミリーと、その親の3世代だ。

   建物はA棟(地下1階~7階)とB棟(地下1階~8階)に分かれ、食料品から生活雑貨まで揃う「デイリーライフソリューション」、ファッションブランドや服飾雑貨を扱う「ファッションストリート」、母子のためのショップやサービスを集めた「ママ&キッズ」、インテリアやアウトドアスポーツなどを扱う「ライフスタイルソリューション」の4つのカテゴリーで構成される。敷地面積は6262 平方メートル、延床面積は4万6021平方メートルで、店舗数は108 店舗を予定。

   入居するテナント9店舗も発表された。衣類や小物などを販売するセレクトショップを運営するユナイテッドアローズは、カジュアルテイストのファッションを揃える「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」と、洋服、小物などを扱う「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」の2店舗を展開する。ファッションフロアには、ファーストリテイリング系列の衣料品店「プラステ」、「ノーリーズ&グッドマン」も入居する。

   当初、入居すると見られていたスウェーデンのカジュアル衣料大手「H&M」は、コピス吉祥寺広報担当者によると、「交渉を進めていたが、見送られた」。

   ファッション以外では、売り場面積1000坪と吉祥寺最大の書店「ジュンク堂」、玩具・文具店「キデイランド」、インテリアショップ「ケユカ(KEYUKA)」、アウトドアショップ「ICI 石井スポーツ」、スーパーマーケット「三浦屋」の入居が決まった。

「アトレ吉祥寺」「京王吉祥寺駅ビル」もリニューアル

   武蔵野市は「進化するまち『NEXT―吉祥寺』プロジェクト」を2010年3月から進めている。吉祥寺は「住みたいまちナンバーワン」に毎年選ばれていて、その良質な住環境は維持、向上しながら、新たに「安全で歩いて楽しいまち」というコンセプトを設定した。10年かけてJR吉祥寺駅の改良、駅ビルの建て替え、駅周辺通路や広場、市道の整備などを予定している。

   JR吉祥寺駅ビル「アトレ吉祥寺(旧吉祥寺ロンロン)」は10年9月21日、一足先にリニューアルオープンする。7月22日に詳細が発表された。

   1階の食ゾーンには、「吉祥寺ロンロン」時代からおなじみの食料品店など約105店舗、地下1階のファッション、雑貨ゾーン、レストランゾーンには計48店舗、東館(旧エキサイツ館)の生活サポートショップゾーンには計27店舗が入る。全180店舗のうち、81店舗が新店だ。

   吉祥寺駅の顔、大型手芸店「ユザワヤ」が入居していた「京王吉祥寺駅ビル」は現在建て替え中で、新ビルは2014年に完成する予定。建て替えにより閉店したユザワヤは、丸井吉祥寺店の7、8階に移転した。「新ビルがオープンしたら再び出店する」とユザワヤ広報担当者は話している。

   ところで、吉祥寺は若者に人気のあるまちとして知られている。まちの若返りの背景には、もっと若者を取り込もうという狙いがあるのだろうか。武蔵野市吉祥寺まちづくり事務所の担当者は、

「最近は年配の方やベビーカーを押すお母さんなど、若者以外も多いです。若者に特化したまち作りをするのではなく、赤ちゃんからお年寄りまで安全に歩けるまちにするという狙いがあります」

と話していて、若返るのは「建物」だけのようだ。