J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

秋の味覚「マツタケ」猛暑で不作? いやいや「豊作」との強気説も

   連日の猛暑と少雨で、秋の味覚「マツタケ」の収穫量が心配されている。毎年9月中旬を過ぎると収穫がはじまるマツタケだが、生育には適度な降水量と地温が19度以下になることが前提だ。

   2010年の夏は猛暑とともに降水量も少なく、マツタケの生育にとってはあまり条件がよくない。気象庁によると、この猛暑は9月に入っても当分続くという。

8月は3分の2が真夏日、猛暑日も2日

9月の天候しだいでは豊作が期待されるマツタケ
9月の天候しだいでは豊作が期待されるマツタケ

   村の木が赤松になっているほどのマツタケの産地、長野県豊丘村も2010年の夏は「異常気象」だ。気象庁によると、豊丘村に近い飯田市の気象状況は、8月に入って気温30度を超す真夏日は24日、35度以上の猛暑日も2日あった。8月の平年の最高気温は30.7度だが、今年は35.8度を記録。また、降水量は7月が413.0ミリと平年の2倍近くの雨が降ったものの、8月は平年で148.0ミリだが、今年はわずか52.0ミリ。雨がほとんど降っていないのだ。

   こうした中、長野県豊丘村交流センター「だいち」では、「じつは、昨年は不作だった」と話す。ここでは毎年、マツタケの季節になると、地元で採れたマツタケを観光用として料理して提供しているが、「昨年は10月に入って、ようやく販売できたと思ったら、10日ほどで品切れになってしまうほど、収穫が少なかった」という。

   豊丘村の2009年のマツタケの収穫量(森林組合分)は407キログラム。「昨年は稀にみる凶作でした」(豊丘村役場)と振り返る。

7月以前の降水量で山には水分ある

   長野県豊丘村のマツタケの収穫量は、2007年が2790キログラム、08年が1420キログラムと、例年であれば1500キログラム程度の収穫量がある。09年の凶作の原因は、「9月になって地温が下がってきたところに残暑がぶり返して、せっかくの菌が死んでしまった」ことにある。

   連日の猛暑続きで不作と思われがちの2010年だが、豊丘村役場は「今年は豊作が期待できる」と強気だ。「8月は雨量が少なかったのですが、それ以前に降っていたので山に水分はあると思います。暑さの心配はむしろこれからで、昨年のように地温が下がってきたときに、暑さがぶり返すことさえなければいいのですが」と心配しながらも、07年(2700キログラム)くらいの収穫量を期待している。

   また、東北地方のマツタケの産地として知られる岩手県岩泉も、30度を超す真夏日が8月は20日もあった。平年の最高気温が26.9度のところ、8月6日には37度を記録し暑かった。さらに雨が少なく、8月の平年の降水量175.8ミリに対して、今年は8月30日までに109.0ミリの雨量にとどまった。

   岩泉町森林組合は、「自然が相手だから出てみなけりゃわからないけど、今年は豊作じゃないかって話しています」と、9月の天候しだいとはいえ、期待が高まっている。