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ローソンとマツキヨだけでない ドラッグストア「融合店」増えぬ理由

   コンビニエンスストア各社が医薬品の取り扱いを進めようと、ドラッグストアとの「融合店」「併設店」の展開に注力している。ただ、コンビニ、ドラッグストア双方に思惑の違いもあり、トントン拍子には進んでいないのも実情だ。

   ミニストップは2010年10月7日、同じイオングループのドラッグストア「CFSコーポレーション」「タキヤ」の計3社によるコンビニ+ドラッグストア一体型1号店「れこっず磯子広町店」(横浜市)を開店した。ドラッグストアを改装した、コンビニよりは一回り大きな店舗に弁当やおにぎりといったコンビニの定番商品に加え、風邪薬やベビー用品も並ぶ。

「規模の大きいコンビニに飲み込まれるのでは」

   3社の共同出資会社「れこっず」による運営で、今後5年間で首都圏や関西圏に200店を出店する計画だ。ミニストップの全国店舗数約2000店からすると、融合店は1割に相当し、コンビニ業界の中でもかなり多い部類だ。ただ、「これはイオングループ内の企業連合だからできること」(業界関係者)との見方が一般的だ。

   実際、日本郵政グループをはじめ、さまざまな業種との提携を連打してきた新浪剛史社長率いるローソンは、最大手のマツモトキヨシホールディングスと業務提携したものの、「融合」は思うようには進んでいない。今年7月に千葉県浦安市にドラッグストア「マツモトキヨシ」と100円ショップ「ローソンストア100」の「併設店」をオープンしたが、両店舗のレジは別になっている。

   もともとローソンとマツキヨは共同出資会社を設立して2010年前半に「融合店」を出店する計画だったが、品ぞろえ調整が難航。地続きのスペースにローソンストア100とドラッグストアが並ぶ形の実験店を出店することになった。融合店をめぐっては品ぞろえで調整がつかなかった、などの理由もあるようだが、マツキヨ側に「このまま融合店展開を進めれば、ゆくゆくは規模の大きいコンビニに飲み込まれるのではないか」という警戒感が大きかった、と指摘する向きもある。

客層を高齢者や女性に広げる狙い

   コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンも、調剤薬局やドラッグストアを展開する「アインファーマシーズ」と09年業務提携したが、これまでの展開は併設店2店にとどまる。ファミリーマートにいたってはどことも提携していない。

   コンビニが医薬品に力を入れるのは、飽和状態の国内市場でじり貧を避けるため、品ぞろえに医薬品を取り込もうとするという狙いから。それによって若年男性に偏りがちな客を高齢者や女性に広げる可能性を探っている。

   09年6月の薬事法改正で規制緩和され、風邪薬や胃腸薬といった一般用医薬品(大衆薬)は薬剤師がいなくても「登録販売者」の資格保有者がいれば販売できることになったことが後押しする。ただ、新設された登録販売者も「経験1年以上」などが条件になっていることもあって、コンビニにとっては人材確保のためには薬局やドラッグストアとの連携が欠かせない。当面はコンビニとドラッグストアが「腹のさぐり合い」を続けながら、徐々に連携する展開が続きそうだ。