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北朝鮮崩壊「統一国家」成立時 中国に経済的な利益を約束か

   米国の内部告発サイト「ウィキリークス」が、米政府の機密文書25万点の公開に踏み切った。過去にも、米軍のアフガニスタン戦争やイラク戦争に関する情報を暴露して物議をかもしたが、今回はさらに流出規模が大きい。

   機密情報の中には、北朝鮮関連のものも多数含まれているようだ。北朝鮮崩壊後の朝鮮半島統一国家のシナリオについて、米韓両政府で話し合ったとの文書も存在。「東京発」の情報も5700点ほど見られるという。

北朝鮮のミサイル輸出巡って米ロ議論

25万点の米外交情報が白日の下に
25万点の米外交情報が白日の下に

   ウィキリークスは2010年11月28日から、米外交文書25万点の公開を始めた。1966年から2010年2月まで、世界各国の米国大使館、領事館274か所と米国務省との間でやり取りされた情報がウィキリークスのサイトに掲載され、閲覧可能な状態になっている。うち、およそ1万5000点は極秘文書の中でも、国家安全保障に重大な影響を与えうる「シークレット」扱いのものだという。テキストの分量は、10年10月に公表されたイラク戦争の機密情報の7倍。日本時間11月29日午後までに公開された文書は220点だが、今後数か月をかけて順次増えていくようだ。

   米ニューヨークタイムズ紙(NYT)や英ガーディアン紙は、事前に公表データを入手、その詳細を掲載した。アフガン戦争やアルカイダ、中東情勢と米国の関心が深い問題と並んで、北朝鮮に関する極秘情報が公開されている。

   中でも日本と深く関係しそうなのが、米韓の政府関係者が、北朝鮮崩壊後を仮定しての「統一国家」について議論したという内容だ。NYTによると、この「シナリオ」は在ソウルの米国大使が米政府に向けて発信したもの。北朝鮮の体制が瓦解した場合、韓国が中国に対して何らかの経済的な利益を約束することで、南北統一後に誕生する新国家に対する中国の懸念を和らげられる、と語った内容を紹介している。

   北朝鮮関連では、イランへのミサイル輸出疑惑に関する情報も含まれている。2010年2月24日付けの米国務省から在モスクワ米大使館宛の文書を見ると、米ロ高官の会議で、米側は、北朝鮮がイランに「BM-25」と呼ばれる射程距離およそ2500キロの中距離弾道ミサイル19基を輸出したと主張。これに対してロシア側は、過去に北朝鮮がBM-25の実験に成功した記録がないことなどを理由に賛同しなかった、といった双方の生々しいやり取りが克明に記されていた。

日本に影響与える重大機密今後公開か

   日本政府に関係する情報も、一部含まれていた。2009年5月8日付けの在中国米大使館発の文書だ。この中に「日中関係」という項目が設けられている。

   それによると、日本の外務省の「ウメダクニオ」氏の話として、09年4月29、30日に北京を訪問していた麻生太郎首相(当時)が、中国の温家宝首相について「大変お疲れの様子で、多くのプレッシャーを受け入れているように見えた」と話した一方で、胡錦濤国家主席については「自信にあふれ、リラックスしていた」と評したという。

   今のところ、日本と直接関係のある情報で公開されているのはこれだけのようだが、実は、東京にある米国大使館発の情報としてウィキリークスで扱われる数は5697点あり、米国務省、在トルコ米大使館、在イラク米大使館に次いで4番目に多い。極秘扱いの「シークレット」の情報も227点存在する。だが、現在サイト上に公開されている文書には、東京発のものはひとつも見当たらない。今後公表されるものの中には、日本に影響を与えるような重大機密が含まれている可能性もある。