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注目の民主役員会は「玉虫色」結論 「幹事長一任」でも分裂含み

   「民主政変Xデーか」とも目された、茨城県議選直後の注目の民主党役員会が行われた。小沢一郎・元代表の国会招致を巡る党内対立が深まる中、出た結論はとりあえず「幹事長一任」だった。「役員会が決裂し、即、党も分裂か」という最悪の事態はひとまず避けられた形だが、「一任」の内容を見る限り、分裂含みの情勢は変化しておらず、予断を許さない状況が続く。

   「幹事長に一任された」。2010年12月13日午後、役員会を終えた岡田克也幹事長は、会見でこう述べた。

「幹事長が元代表と話し合いを行うべきだ」

また地方選で負けた民主党はどうなるのか
また地方選で負けた民主党はどうなるのか

   岡田氏によると一任されたのは、(1)小沢元代表に(衆院)政治倫理審査会(政倫審)へ自ら出席し説明してもらいたい(2)自らは出席しない場合、党において出席を決めなければならなくなる、という2点を踏まえ、岡田幹事長が小沢元代表と話し合いを行うべきだ、ということだ。

   記者からは「何も(今までの状況から)進んでいないのでは」という質問も飛んだが、岡田氏は「前に進んだ」という認識を示した。岡田氏は、小沢氏がこれまで「国会で(招致を)決めれば従う」と話していたとして、今回一任された(2)の項目が、「それ(国会の決定)に近い状態と(小沢氏に)ご理解頂ける」との考えを示した。

   もし小沢氏が「ご理解」しない場合の対応についての質問が次々出たが、岡田氏は「仮定の質問にはお答えできない」を繰り返してかわした。

   どうやら、一任事項の(2)の文言が、小沢氏が自身で出席しない場合、党が出席を「決める」と断言するのではなく、「決めなければならなくなる」という表現でボカしている所あたりで、「玉虫色」の決着が図られたようにもみえる。

   これまで、「政治とカネ」を巡る問題で小沢氏の国会招致に前向きな姿勢を見せる岡田幹事長らの方針に対し、小沢氏周辺は反発を強めていた。12月8日と10日にも、小沢氏に近い議員らが岡田氏を訪れ会談を迫り、招致断念などを申し入れていた。13日も役員会前に直談判があった。

   小沢氏本人も、民主の地方選連敗を受け、12月12日投開票の茨城県議選前、同県議選で惨敗すれば「地方が火を噴く」と予想を披露していた。また、「(小沢氏が)新党結成に言及した」とも報じられ、「揺さぶり」が加速していた。

「菅総理年明け退陣」説も出る

   その茨城県議選(定数65)の民主の結果は、23人の公認候補を擁立したものの、現職候補2人が落選するなど獲得議席は現有議席数と同じ6議席にとどまった。約4分の3が落選した形だ。一方、自民は公認だけでも36人中33人が当選し、過半数を確保した。民主の結果については、「惨敗」(産経新聞)、「多くの選挙区で大敗」(読売新聞)などと報じられている。

   党派別の得票率をみても、自民の約39%に対し、民主は17%と半分以下だ。町村部にいたっては、自民59%対民主18%と、民主は3分の1にも達していない。11年春の統一地方選を前にして、民主に暗雲が立ちこめていることが改めて確認された形だ。

   「次は前原か岡田」――。注目の民主役員会があった12月13日、首都圏などの書店に並んだ週刊現代最新号(12月25日号)は、「菅総理 年明け退陣へ」などの見出しで、「後任」の名前が具体的に挙がっている現状を報告した。

   現代記事は、11年1月13日の民主党大会で「菅辞めてくれコール」が一斉に起こり、「否応なく、退陣を余儀なくされる」と指摘する。さらに、「次が誰か」について党内では、前原誠司外相と岡田克也幹事長の名前が挙がっている、という。前原氏については、「影の首相」ともささやかれる仙谷由人官房長官の「イチオシ候補」。岡田氏は、「どこの党派にも属さないニュートラル」さが買われ、「渡部恒三氏ら長老の間」で名前を挙げられているようだ。

   茨城県議選の「惨敗」が決まった今、小沢氏の予想通り「地方から火」が噴き出すのだろうか。民主党は11年春の統一地方選を菅総理のもとで戦うのか、「次の顔」で臨むのか。「中央からの火ダネ」も含め、民主党の不安定飛行が続く。