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コーヒー豆価格13年ぶり高騰 喫茶店も値上げへ動くか

   コーヒー豆の価格が全世界的に上がっている。ブラジルなどの新興国での需要が大きく伸びている影響で、13年ぶりの高騰だという。コーヒー業界にはまだ大きな動きはないが、既に値上げを検討しているメーカーもあり、今後末端価格も上昇していきそうだ。

   コーヒー豆価格の指標となるのが、ニューヨーク市場での「アラビカ豆」の価格だ。2010年は6月頃から価格が上昇し始め、10月下旬に1ポンド200セントを突破。13年ぶりの高値となった。その後も上昇を続け、現在は225~226セントで推移している。

円高なのに輸入価格が上昇

   全日本コーヒー協会の西野豊秀専務理事によると、2010年はコーヒーの主要生産国の一つであるコロンビアで、植え替えや天候不順により生産量が落ちている。それに加え、ブラジルや、インド、ロシアなどの新興国での需要が伸びて在庫が減っており、そこに投資家の資金が流れ価格が急騰したという。

   平均輸入価格も、よく飲まれるコロンビア・マイルドが09年は1キロ305円だったのに対し、10年は382円と大幅に上昇している。

「ブラジルでは、コーヒー豆は外貨を稼ぐための輸出用で、国内では輸出規格に満たないものを消費していましたが、経済発展したことでいいコーヒー豆が求められるようになった。生産の伸びより需要の伸びが大きい。日本では円高になっているのに、輸入価格が上がっているのは、それだけ相場が大きく動いているからです」

と話している。

   大手コーヒーチェーンのタリーズ・ジャパンは、現在のところ値上げは予定していないという。ただ、広報担当者は「まだ在庫がありますが、こうした状況が続くと今後大変かも知れない」と話す。

大手製造・販売会社「価格シミュレーション中」

   また、日本マクドナルドも「ハンバーガーが主力で、コーヒーは全体の売上に占める割合が低いので今のところ影響はありません」(日本マクドナルド広報)としている。

   ただ、自家焙煎をやっていない喫茶店や、コーヒーが専門ではないレストランなどの飲食店では、大手製造会・販売会社から焙煎した豆を仕入れて使っており、そちらの価格設定が末端価格に反映されてくる。

   キーコーヒーでは06年に1ポンド130セントに高騰したときには、12%の値上げ実施。しかし今回はそれ以上の勢いで価格が上昇している。当初は静観していたが、価格が下がらないことから値上げを検討中だという。広報担当者は、

「12月に入ったときは、200セント超えても戻るかなと思っていたのですが、戻りませんでした。深刻度はかなり増しており、値上げを真剣に考えないと行けない段階です。この傾向を一時的なものではなく、今後も続くと見られるので、現在価格設定のシミュレーションを行っているところです。お客様や流通の理解を得ることが第一ですが、年内に決められればと思っています」

と話している。