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水道水の放射能汚染規制値 「1年間1リットル飲み続ける」が条件

   福島第一原発の事故の影響で、東日本各地の水道水から放射性物質が相次いで見つかった。2011年3月23日には、東京都にある浄水場の水道水から、乳児の摂取制限の規制値を超える放射性ヨウ素が検出された。

   人体への影響が懸念されるが、厚生労働省では、あくまでも「1年間、相当量の水を飲み続けた場合」の規制値であるため、短期的であれば多少摂取しても問題ないという。

乳児による水道水の摂取を控えてほしい

手洗いに使うのは心配ない
手洗いに使うのは心配ない

   食品や水に含まれる放射性物質の規制値は、原子力安全委員会が定める「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定的に使っている。それによると飲料水に含まれる放射性ヨウ素の規制値は、1キロあたり300ベクレルとなっている。また、食品衛生法に基づく暫定的な規制値では、1キロあたり100ベクレルを超えた水道水は、乳児に対して粉ミルクを溶かして与えるのを控えることとなっている。

   数値だけを見れば、「210ベクレル」は乳児の規制値を大きく超えている。だが、実際に危険性はあるのか。厚労省水道課に聞くと、「短期的であれば、水道水を飲んだとしても問題ない」という。先述の規制値は、「1年間毎日、1リットルの水を飲み続けた場合」という条件で定められている。乳児がよほど大量の水道水を連日飲み続けない限りは、すぐに健康に被害をもたらすということではなさそうだ。成人の場合は、仮に1年間飲み続けた場合でも心配のない値にとどまる。

風呂や洗濯の水「微量で害なし」

   とはいえ、水道水は毎日の生活に欠かせない。飲料だけでなく、手を洗ったり風呂に入ったり、衣類を洗濯したりという場合は大丈夫なのか。厚労省水道課によると、規制値は体内に摂取した場合という定義に基づいており、風呂や手洗いで使う水や、濡れた体を拭いたタオルにつく水滴などは「微量なので大丈夫」と話す。

   水道の水に「放射性物質」となると神経質にならざるを得ないが、水道課では「一時的であれば、水道水を飲んでも問題ありません」と何度も強調していた。