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「合板、断熱材、キッチン」手に入らない 震災の影響で住宅工務店が悲鳴

   東北関東大震災の影響で全国的に建築資材が不足している。工場が被災地にあって生産停止状態になったメーカーもあり、住宅工務店などが悲鳴を上げている。

   都内の住宅工務店では地震後、合板(ベニヤ板)やキッチン、断熱材、エコキュートが手に入りにくくなってしまった。「建築資材がないので着工したとしても工事を続けられるか分からない。こんなことは初めて」と話す。

震災で、手に入らない部品が続出

   東日本の広範囲で被害が出たため、建築資材メーカー各社に大きな影響が出ている。クリナップは、キッチンを作っていた福島県いわき市の主力工場が被災。被害は軽微だったが、現在も断水が続いており、操業を停止している。

   ダイキンは部品が調達できないためエコキュートの生産を停止。在庫を順次配送しているが、受注を停止している。リンナイも東北・関東地区に生産拠点はなく直接的な被害はなかったが、一部部品の仕入れ先が被災してしまったため、給湯機器や厨房機器の部品調達が困難になってきているという。

   住宅メーカーや建材メーカー関係者が口を揃えていうのが、合板がないことだ。西日本のとある木材仲買組合の担当者は「地震後、工務店からどこに行ったら合板があるのかと聞かれるんですが、逆にこっちが聞きたいくらい」と明かす。工務店から木材問屋に合板の注文があっても、ものがないので断るケースもあるという。

フル生産すれば合板不足は解消?

   さらに木材問屋が在庫を持たなくなったのも品薄に拍車をかけている。

「昔は問屋も在庫を持っていたが、5年ほど前から、いつ売れるか分からないものは持っていても仕方ない、『不良在庫』ということで、みな持たなくなってしまった。阪神大震災のときは在庫があったので、大丈夫だったのですが……。被災した東北地方の合板工場の生産が戻ったとしても、復興資材に優先的にいくとなると、西の方にまで回ってくるかどうか」

と心配している。

   多くの合板メーカーが所属する日本合板工業組合連合会によると、2008年のリーマンショック後、住宅建築が落ち込み合板業界も3~4割の大幅減産。最近も1~2割減産し、そんな中今回の地震があった。ただ、同連合会の川喜多進事務局長は

「合板工場も被災したが、被災地以外のメーカーがフル生産すれば量的には問題ない。仮設住宅を2か月で3万棟作ったとしても必要な合板は60万枚。フル生産なら全国で月に約800万枚作れるので、合板不足もじきに解消されると思います」

と話している。