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ビール工場も被災で操業停止 コンビニ、スーパーで品薄状態

   東北関東大震災でビールにも影響が及んでいる。東北や北関東にある主力工場が被災。物流にも混乱が生じており、一部の銘柄はコンビニやスーパーで手に入りにくい状況が起きている。

   東京都千代田区のコンビニでは、ビールの棚がスカスカ。サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」やキリンビールの「麒麟淡麗 生」、アサヒビールの「アサヒスーパードライ」はあるが、以前はよく見かけた「淡麗グリーンラベル」「一番搾り」(キリン)や「エビス」(サッポロビール)が品切れ状態だった。

宮城、福島の工場で操業再開できず

   こうした現象は各地で起きているようだ。ツイッターには、「食料品店いったら、ビールが全然なかった」「仕事終わらせて、さあビール!と思いきやコンビニで売ってない」「スーパーにも売ってない」といった呟きが多数寄せられている。

   今回の地震で大手ビール各社の工場が多数被災した。サッポロビールは、仙台と千葉の船橋にある工場が被災。仙台の工場はまだ再開の目処が立っていない。28日に操業を再開した船橋の工場も、仕込み工程などはまだできない。

   アサヒビールは全国に9つある工場のうち、福島県本宮と茨城県守谷の2つの工場が被災した。守谷の工場は22日から操業再開し、主力の「スーパードライ」の仕込みも始まった。31日までに6本あるラインうち、5本が動くようになったというが、本宮の工場は再開出来ていない。キリンビールも仙台と茨城県取手の工場で貯蔵タンクが倒れるなどの被害があり、仙台工場は操業を停止したままだ。

   ビール大手の中で、唯一東北に工場がなかったのがサントリーだ。ただ、直接的に被災した工場はないものの原材料やパッケージの調達が難しくなっており、現在、主力の「ザ・プレミアム・モルツ」と「金麦」に注力して生産しているとしている。

ゴールデンウィークには品薄解消?

   被災地以外の工場でフル生産して何とか賄っている企業もあるが、震災後は物流が混乱したこともあり、各社とも必要量を飲食店や小売に届けるのが難しくなっているという。

   経済ジャーナリストの中村芳平さんは「アサヒの守谷工場、キリンの取手工場はどちらも利根川の水を使ってやっている主力工場。特にキリンは仙台の工場もタンクが倒れたというから大変でしょうね」と語る。

   現在品薄になっているのは、流通段階で、現金問屋などが買い占めを行っている可能性もあると推測する。ただ、品薄はそれほど長期化しないとも見ており、

「どこの会社も地震後すぐに対策を立てていると思います。ビールができるまでは2か月ぐらいかかるので、おそらくゴールデンウィークごろには解消するでしょう。第3のビールは40日でできるのでもっと早く解消します。自粛ムードがどうなるかは微妙ですが、ゴールデンウィークは大きな商戦なのでどこも狙ってきますよ」

と話している。