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FX業界に再編の波 水面下で外資系うごめく?

   FX業界が揺れている。東日本大震災後の外国為替相場の乱高下で個人投資家の一部が損失を抱えたことに加えて、2011年夏には金融庁がレバレッジ(証拠金倍率)の上限規制を現在の50倍から25倍に強化する。投資の魅力が薄れる面もあり、個人投資家のFX離れが進みつつあるのが現状だ。

   FX業者にとっては減ってくるお客を奪い合うサバイバル競争がはじまっている。ここ数年で異業種を含め、参入者が相次いだFX業界も再編の波が押し寄せているようだ。

相場の乱高下でダメージ大きく

   NTTグループのFX業者のNTTスマートトレードは2011年4月14日、6月30日をもってFX事業を終了すると発表した。「業界動向などを踏まえて、総合的に判断した」(広報部)という。

   同社の口座数は約1万6000口座で、預かり証拠金は35億円。継続して取引を希望する者は、セントラル短資FXに口座を移管する。

   一方、GCIキャピタルグループは3月31日にFX事業から撤退。100%子会社だったFXCMジャパンは4月1日から、外資系FX会社であるODLジャパンの下で新たなスタートを切った。

   表面化はしていないが、FX業者の財務状況はかなり傷んでいるとみられる。震災直後、為替相場が乱高下したことで、損失を被った個人投資家は少なからずいる。ロスカットなどで処理したが、その分を回収できないケースや、FX業者自身が十分にカバーできずに損失を被ったケースがあるからだ。

   もっとも、NTTスマートトレードは財務状況の悪化については否定している。

少ない手数料で外貨預金と同じ効果が見込める

   一方、FX業者、なかでも外資系はこの混乱をチャンスとみているようだ。すでに物色しているとの情報もある。

   FX業者は銀行のような免許事業でなく、参入障壁が低く、異業種からの参入も少なくない。ある証券会社の幹部は、「為替相場があまりに急激で、おそらく自己資本が想像以上に減少したのではないか。今後は顧客の獲得競争も熾烈になるので、本業に影響が出ないうちに売却してしまおうという判断はある」と話す。

   買収を検討する側も、今後は事業継続のために、「規模のメリットが必要になってくる」(証券幹部)という。

   最近は「証拠金1倍」を売りに個人投資家を集めているケースは少なくない。少ない手数料で外貨預金と同じ効果が見込めるので、「オトク」というのがセールストーク。夏に引き下げられるレバレッジ規制にも抵触しないで、お客を集められる。外資もそのあたりの需要層を狙っているのかもしれない。