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ソーシャルメディアは役立ったのか 震災後ツイッター利用者は33%増

   東日本大震災をきっかけに注目を浴びているのが、ツイッターをはじめとする、いわゆるソーシャルメディアのあり方だ。複数のネット利用者に対する調査では、震災でソーシャルメディアが役だったとする結果が出ているものの、調査の対象となったのは日本全国や首都圏の利用者。東北3県のネット利用者を対象にした大規模な調査はまだ行われておらず、本当に「被災地で役立ったか」判断するためには、さらなる調査が待たれる。

メディアしての信頼度はNHKがダントツ

   震災後の各社が行ったメディアに対する意識調査では、NHKの圧倒的な信頼度が改めて確認される一方、総じてソーシャルメディアの利用も伸びている。

   例えば、野村総合研究所が3月19日と20日、首都圏の1都6県在住の3224人を対象に行ったネット調査で、「震災に関する情報提供で、重視しているメディア・情報源」を複数回答で聞いたところ、上位はNHK(80.5%)、民放(56.9%)とテレビが圧倒的な強さを見せたが、ポータルサイトやソーシャルメディアを挙げた人も、それぞれ43.2%、18.3%いた。また、信頼度が上昇したメディアを聞いたところ、13.4%が「ソーシャルメディアで個人が発信する情報」を挙げた。これは、「NHKの情報」(28.8%)、「ポータルサイトの情報」(17.5%)に次ぐ高い数字だ。

   また、ネットレイティングスの調べによると、地震の前週(2月28日~3月6日)に家庭と職場のPCからユーストリームを利用していた人は54万人だったが、地震が発生した週(3月7日~13日)は140万人が視聴。利用者が2.5倍に跳ね上がった。ただし、同社が増加の要因として挙げているコンテンツは、「NHK総合テレビ」。オフィスでテレビを見られない利用者が、例外的に同時配信が許可されたNHKのニュースをPC上で見ていたことが原因だ。ここでも、NHKの強さが裏付けられた形だ。

「東北地区は利用者が伸びていない可能性」

   他のソーシャルメディアの増加率は、ツイッターが33%、スカイプが14%、フェイスブックが14%、ニコニコ動画が13%、ミクシィが8%。ツイッターの増加率が高いのが目立つ。ツイッターをめぐっては、「電話やメールが繋がらない中、ツイッターで家族や知人の消息を知った」との声も多く、震災時に重宝されたことが数字でも裏付けられたとも言えそうだ。ただし、この調査はPCから接続した利用者が対象なので、携帯電話からの利用についてはカウントされていない。

   一方、ソーシャルメディアに低評価を与える調査結果も出ている。調査会社のモバイルマーケティング・ジャパンが登録モニターに対して4月30日から5月2日にかけて行ったネットアンケートで、「震災当日にもっとも役立った情報源」を聞いたところ、71.9%がテレビ番組を挙げたのに対して、SNSを挙げたのは5.0%にとどまっている。ただし、この設問は複数回答ではないため、2~3番目のメディアとしてSNSを活用しているケースが想定されていない。さらに、回答数が278にとどまっていることから、調査としての信頼性に疑問を呈する声もある。なお、このアンケートでは、回答者のうち8.6%がツイッター、1.5%がフェイスブックの活用を震災後に始めたと回答している。

   ただし、これらの調査は、日本全国(野村総研は首都圏)のネット利用者を対象に行ったもので、東北3県でのネット利用者に絞って行われたものではない。

   ネットレイティングスでは、東北地区については

「インフラが寸断されているところもあったため、(利用者数が)必ずしも伸びていない可能性がある」

とも話しており、ソーシャルメディアが本当に被災地で役立ったかどうかについては、検証が待たれることになりそうだ。