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新生活への不安 仮設入居者に生活必需品の支援【福島】

約17,500世帯に生活必需品を配付

   福島県は、地震・津波・福島第一原子力発電所の事故という複合災害に見舞われ、多くの被災者が生活の糧や住居を失ったり、避難を余儀なくされています。難民を助ける会では、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受け、特定非営利活動法人アドラ・ジャパンと共同で、5月より福島県内の仮設住居・借上げ住居に入居する全世帯(約35,000世帯)を対象に、生活必需品一式の支援を開始しました。


被災市町村の半分にあたる13市町村、約17,500世帯が支援対象地域となっています
被災市町村の半分にあたる13市町村、約17,500世帯が支援対象地域となっています

   難民を助ける会では、震災発生以来、新地町、相馬市、南相馬市に、食料や燃料、避難所用洗濯機・乾燥機、自転車などの支援物資を届けてきました。その過程で、これらの市町村及び福島県の災害対策本部より、仮設・借上げ住居への支援の要請を受けました。当会が支援するのは、被災市町村の半分にあたる13市町村(約17,500世帯)です(右図参照)。


   被災地域では、日本赤十字社による洗濯機、冷蔵庫、テレビなどの家電製品6点セットの配付が決まっており、今回支援するのはそれ以外の生活必需品です。地域の経済復興のため、商工会や商店街の方々と連携し、可能な限り、地元で物資を調達しています。震災後の多様な業務に追われている自治体職員の方々の一助となれるよう、難民を助ける会の職員が各市町村を訪れ、さまざまな調整にあたっています。また、調達・配付のため、地元でアルバイトや職員の雇用も予定しています。


ようやく避難所を出た方々が新生活をはじめるために

「郡山ビッグパレット」内に設置された富岡町の災害対策本部にて。右から対策本部渡辺弘道さん、難民を助ける会の髙城大吾、富岡町商店街協同組合の坂本禎人さん、同仲山直久さん
「郡山ビッグパレット」内に設置された富岡町の災害対策本部にて。右から対策本部渡辺弘道さん、難民を助ける会の髙城大吾、富岡町商店街協同組合の坂本禎人さん、同仲山直久さん

   富岡町は、地震・津波で壊滅的な被害を受け、さらに福島第一原発の20キロ圏内にあるため、全住民に避難命令が出されました。現在、住民の多くが町役場とともに、郡山市のイベント施設などに避難しています。郡山市、三春町、大玉村に計1,500戸の仮設住宅が建設されており、6月中旬から入居が始まりました。


   富岡町の災害対策本部の渡辺弘道さんは、「町民は、イベント施設の廊下に寝泊まりしています。3ヵ月が経ち、皆疲弊しきっています。やっと仮設住居などに移れることになり、安心していますが、入居後の生活への不安も大きい。このたびの物資支援はとてもありがたい」と話されました。


   相馬市は、津波で壊滅的な被害を受けた沿岸部からの避難者のほか、隣接する南相馬市、飯館村などから避難されてきた方々も受け入れています。計画されている1,500戸のうち、すでに1,000戸の仮設住居が完成。現在、各仮設住居に支援物資を届けています。


   相馬市役所の吉野光一さんは、「今回の支援のおかげで仮設住居に入居される方々へ、市から生活必需品以外の物資を提供することができた。仮設住居へ入居したとしても、被災されている方々は、今後の生活にすごく不安を感じており、支援は本当にありがたい」と話されました。

   これまで(6月22日時点)に、支援対象地域2,170世帯への配付が終了しています。

鏡石町に設置された仮設住居
鏡石町に設置された仮設住居
相馬郡新地町に配付した支援物資
相馬郡新地町に配付した支援物資

   支援地域

被災市町村の半分にあたる13市町村(17,500世帯)
郡山市、白河市、須賀川市、相馬市、南相馬市、相馬郡新地町、鏡石町、富岡町、矢吹町、飯館村、泉崎村、川内村、西郷村

   配付物資の一例

両手鍋、片手鍋、フライパン、まな板、包丁、タッパー、やかん、風呂用イス、洗面器、石鹸台、バスマット、バスケット、ほうき・ちりとりセット、物干し用ロープ、ぞうきん、ハンガー、掃除機、ちゃぶ台兼コタツ、食器棚
※配付する物資の内容は、自治体により異なります

相馬市で、被災した子どもたちの精神的ケアも支援しています

   福島県相馬市では、物資の支援に加え、東日本大震災で被災した相馬市の子どもたちの精神的ケアを担う「相馬フォロアーチーム」の支援も開始しています。これは、津波被害で家族や家を失った幼稚園児や小中学生の精神的ダメージが今後の成長の妨げになるのを防ごうというもの。市内の学校など教育現場に臨床心理士や保健師が常駐して、子どもたちと接し、日ごろの交流を通して心の傷の兆候をとらえようという活動です。

   難民を助ける会の創設者、故相馬雪香会長は、1923年、相馬藩(現在の相馬地方)の第32代当主相馬恵胤(やすたね)氏と結婚したというご縁もあります。

(難民を助ける会 東京事務所 髙城大吾)



認定NPO法人 難民を助ける会
1979年、インドシナ難民を支援するために、政治・思想・宗教に偏らない市民団 体として日本で設立された国際NGOです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、地震発生当日より活動を開始。宮城県仙台市と岩手県盛岡市に事務所を構え、緊急・復興支援を行っています。
活動にあたっては、特に支援から取り残されがちな障害者や高齢者、在宅避難者、離島の住民などを重点的に支援しています。食料や家電などの物資の配布、炊き出し、医師と看護師による巡回診療など、多面的な活動を続けています。
■ホームページ http://www.aarjapan.gr.jp
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