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ノーヒットノーラン目前で投手交代 高校野球の監督采配にブーイング

   高校野球で、あと1アウトでノーヒットノーランの場面で投手を交代させた監督の采配が話題となっている。

   愛知大会、享栄高校と天白高校の1回戦(2011年7月17日)。享栄エースの杉本力也投手(3年生)は、9回2アウトまで無安打無得点10奪三振3四球の快投を見せていたが、あと1人というところで交代となった。

「ここまできたら投げさせてあげればいいのに」

   継投した加納翔伍投手(3年生)が最後の打者を打ち取り、試合は「無安打無得点リレー」で終了した。記録目前のこの采配に、インターネット上では、「ここまできたら投げさせてやればいいのに…」「かわいそうだ」「監督の真意を知りたい」などの非難が相次いだ。

   2007年の日本シリーズ第5戦でも、中日ドラゴンズの落合博満監督が8回表まで無安打無得点だった山井大介投手を9回表で岩瀬仁紀投手へ交代させた采配が賛否両論を呼んだ。中日も同じ愛知県のチームであることを引き合いに出し、「落合監督のまねか」「愛知の伝統なのか」などと茶化す声もある。

   しかも、落合監督の采配時の点差は1点。今回の試合では享栄高校が7点もリードしていた。

   控えの投手にマウンドを慣れさせる「調整登板」だとしても、「ノーヒットノーランすれば一生の思い出、自信になるのにね」「2アウトではなくて回の初めに交代させてあげればよかったのに」といった声が上がっている。

「9回2アウトで交代」は決まっていた

   といっても今回の采配は、唐突に行われたわけではないようだ。朝日新聞や毎日新聞の報道によると、彦坂明人監督は5回の時点で、「9回2アウトになったら交代」と杉本投手に伝えていたという。

   日刊スポーツによると、彦坂監督は周囲からの「もったいなかったのでは?」という声に対し、「非情と思われるかも知れませんが、先を考えてうちのパターンの継投を経験しておきたかった」とも語っている。

   一方の杉本投手本人も、「記録は知っていましたけど、それほど意識はしていませんでした。ここまで投げられたんですから」と笑顔で語ったという。杉本投手は2010年11月にひじを手術し、本格的に投球できるようになったのは6月から。苦境を乗り越えての登板だった。

   享栄は金田正一氏など多数のプロ野球選手を輩出している強豪高校。県大会1回戦の記録などにはあまりこだわっていないのかもしれない。