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菅首相原発輸出で二転三転 日本との優先交渉トルコが打ち切り通告

   原発建設を推進しているトルコ政府が日本政府に対して、2011年7月末までに交渉継続の意思を明確にしない限り日本との優先交渉を打ち切り、他国との交渉を開始すると伝えてきた。

   トルコは日本に優先交渉権を与えていたが、東京電力福島第一原発の事故後に交渉はストップしている。「脱原発」の考えを示した菅直人首相だが、「原発輸出」にはのらりくらりと、あいまいな態度のままだ。

韓国やフランス、ロシアが再交渉を打診

菅首相はトルコの原発建設に協力するのか、しないのか?
菅首相はトルコの原発建設に協力するのか、しないのか?

   トルコとの原発交渉にあたって菅首相は、6月の総選挙に勝利したトルコのエルドアン首相に宛てた祝電で、福島第一原発の事故後から滞っている受注交渉の継続を求めた。7月20日の衆院予算委員会では「外交手続きをして現在進んでいる」と明かし、現時点で中止する考えがないことを表明していた。

   ところが、その翌21日には原発の海外輸出に対して「もう一度議論しなければならない段階に来ている」と発言。菅首相の態度が二転三転し、政府の方針はわからなくなった。

   原発を推進したいトルコは、同じ地震国であることから、日本の耐震技術を高く買っていた。日本に対して、原子力関連の技術移転や人材育成、法整備などの手助けを期待しているが、一方で原発事故後、日本との優先交渉がストップしているのをみた韓国やフランス、ロシアが再交渉を打診していて、受注競争は激しくなっている。トルコも返答をむやみに先延ばしできない事情もある。

   トルコとの交渉について外務省は、「(トルコとは)これまでも綿密に協議してきているし、引き続き話し合いを続けていく。今後もしっかりやっていきたい」(中東第1課)と、なお意欲をのぞかせる。

ベトナムとの契約も「白紙」の懸念

   原発輸出の交渉権を得ているのは、トルコ以外にもある。枝野幸男官房長官は7月14日、リトアニア政府が新型原発建設の独占交渉権を日立製作所・米ゼネラル・エレクトリック(GE)連合に与えたことを明らかにした。

   それを踏まえ、枝野官房長官は「日本の技術力について評価をいただけていることについてはポジティブに受けとめたい」と語り、成長戦略の一環である原発輸出を推し進める考えを示唆している。

   政府は原発などのインフラ輸出を新成長戦略の柱に位置付けていて、官民一体で推進していく方針を掲げている。ベトナムの原発建設は、2010年10月のグエン・タン・ズン首相と菅首相との首脳会談で決まり、菅政権の成果のひとつとされている。

   福島原発の事故後、ベトナムやトルコ、ヨルダンからは事故原因への問い合わせもある。昨年10月に契約を結んだベトナム政府は今のところ、日本との契約を変更する方針などは示していないが、こうした問い合わせに日本が科学的な検証結果を明らかにできなければ、契約が白紙に戻る可能性もある。