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JALも格安航空に参入 大西社長「共食いは極小化できる」

   これまで格安航空会社(LCC)に慎重姿勢を示してきた日本航空(JAL)が、豪カンタスグループ、三菱商事と合弁でLCCの新会社「ジェットスター・ジャパン」を2011年9月に立ちあげることになった。3社が11年8月16日発表した。国内のLCCをめぐっては、すでに全日本空輸(ANA)がLCC2社への出資を表明しており、競争が激化するのは確実だ。

成田、関空拠点に2012年就航目指す

会見に臨むJALの大西賢社長(左)とジェットスターのブルース・ブキャナンCEO(右)
会見に臨むJALの大西賢社長(左)とジェットスターのブルース・ブキャナンCEO(右)

   新会社は、資本金48億円。三菱商事が33.4%、JAL、カンタスグループがそれぞれ33.3%を出資。機体や運航ノウハウなどのビジネスモデルは、カンタス子会社のLCC「ジェットスター」のものを踏襲し、標準より約4割安い運賃を設定。常に他社よりも安い運賃を提示する「プライス・ビート・ギャランティー」(最低価格保証)制度も導入する。

   成田、関西を拠点に、2012年に札幌、福岡、沖縄などへの国内線就航を目指す。さらにアジア路線の展開も予定している。発足当初はA320型機(180席)3機を導入し、数年間で24機に増やす。2~3年後には、1年に1000億円程度の売り上げを目指す。

JAL本体の低価格化路線は否定

   従来、JALは、LCCについて

「研究を進めているところ」(大西賢社長)
「JALは高品質な会社であるべき」(稲盛和夫会長)

と、消極的ともとれる姿勢をとってきた。それを一転、参入に踏み切った形だ。この点について聞かれた大西社長は

「そういう質問が出るということは、我々のコミュニケーションの仕方がまずかったのかもしれない。JALそのものでLCCをやることについては今でも否定的。JALの今のリソースは最高のサービスを提供することに投入する」
「LCC事業に参画することで多様な価値を提供することを追求、実現していきたい」

とJAL本体が低価格化路線に走ることを否定。ジェットスターブランドとの差別化を強調した。

   また、LCCで懸念されることのひとつが、LCCの需要が親会社の需要を減らしてしまう、いわゆる「共食い現象」だ。この点については、大西社長は

「既存の需要が一部(新会社に)移ることも否定できない」

とリスクを認めながらも、

「(JALとジェットスターで)どういう風に住み分けるかを話し合うなかで設立の合意に至った。カニバライゼーション(共食い)を極小化できると判断した」

と説明したが、この「住み分け」の具体的内容については、

「両社が積み重ねた内容であって、公開する代物ではない」

として明らかにしなかった。

   日本国内のLCCをめぐっては、全日空が(ANA)がマレーシアのエアアジアと組んで「エアアジア・ジャパン」を設立、関西国際空港を拠点とする「ピーチ・アビエーション」(大阪府泉佐野市)にも出資するなど先行しており、競争が激化するのは必至だ。この点については、ジェットスターグループのブルース・ブキャナンCEOは

「これまでも(東南アジアやオーストラリアで)タイガー航空、バージンブルーといった競合がいたが、ジェットスターは非常に成功を収めている」

と自信を見せていた。