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オリンパスのゴタゴタ続き 名門企業に何が起きているのか

   東証1部上場で光学・精密機器大手のオリンパスが揺れている。オリンパスといえば、一眼レフカメラなどで有名な名門企業だが、いまや世界シェア7割を占める内視鏡のトップメーカーで、レーザー顕微鏡などの医療機器も手がける。海外事業のウエートも高い。

   そんな同社で、ゴタゴタが続いている。経済誌「FACTA」は2011年8月号で、「オリンパス――『無謀M&A』巨額損失の怪」というタイトルで報じた。さらに第2弾として、10月号では「特別背任」の疑いにまで言及している。いったい何が起こっているのか。

英医療機器メーカーの買収がきっかけ

名門オリンパスに何が起こっているのか?(写真は、オリンパスのホームページ)
名門オリンパスに何が起こっているのか?(写真は、オリンパスのホームページ)

   オリンパスは2010年に発表した中期経営計画で、2015年3月期には医療事業の売上高を5500億円(11年3月期は3553億円)にすることを目指している。そのために、医療事業や産業用検査機器のM&A(企業の合併・買収)に積極的で、2010年も米国の肺疾患向けの治療機器メーカーや蛍光エックス線分析検査装置メーカーを買収した。

   ところが、繰り返されるM&Aが何か社内の不安定要因になっているようなのだ。その発端が08年に買収した英ジャイラス社。外科・処置具を得意とする医療メーカーで、この買収に約2600億円を投じた。これがオリンパスの財務基盤を悪化させているのではないか、という指摘だ。

   ジャイラス社の買収には、「実態よりも高い価格で買収された」との見方がある。事業規模が07年3月期の売上高で2億1334万ポンド(約482億円)にすぎなかったにもかかわらず、買収金額がオリンパスとしては過去最高額だったからだ。

   資金回収できるだけの効果が見込めないのではないかとの見方が広がり、株価が下落する場面もあったほど。

   疑惑の中身について真相は不明だが、内部情報なども流れている模様だ。

   ちなみに、2010年買収した米エックス線分析検査装置メーカーの売上高は4000万ドル(約42億円)で、買収額は7750万ドル(約68億円)だった。ジャイラス社とはケタが違う。

   これに対して、オリンパスは「ジャイラス社の買収の際には説明会を開いていますし、東証にもきちんと情報開示しています。(買収額は)正当な評価であると考えています」という。

   買収後の09年3月期には最終損益で1148億円もの赤字を計上したが、「ジャイラス社が無関係とは言わないですが、当時はリーマン・ショックの影響もあり、海外子会社を含め保守的に評価した結果として特別損失を計上しました」と説明している。

内部告発社員の「配置転換」裁判も敗訴

   さらに、オリンパス社内のゴタゴタを印象づけたのが、上司の非合法な行為を内部告発した社員を配置転換した裁判。11年8月31日、東京高裁はオリンパスに逆転敗訴の判断を下し、配置転換の無効と220万円の損害賠償の支払いを命じた。オリンパスは上告したが、イメージダウンは避けられない。

   オリンパスに、いったい何が起こっているのか、聞いてみた。

   同社は、「4月から新たにマイケル・ウッドフォード社長を迎えた新体制で臨んでいて、よい変化だと思っています。社内で何かマイナス面があるとは認識していません」と話している。