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NHK平均報酬1041万円 野田首相「不公平感がある」の真意は?

   国会答弁でNHK職員の平均報酬1041万円、国家公務員の平均報酬658万円だと紹介された。質問者の民主党議員が、健康保険料率がNHKは相対的に低く「恵まれている」として、「不公平を是正するのが民主党だ」と訴える中で出てきた数字だ。

   2011年9月28日、参院予算委員会で民主党の桜井充氏が質問に立った。保険料率と(保険料の基礎となる)平均報酬について、NHKと国家公務員共済、中小企業の従業員らが参加する通称「協会けんぽ」の違いをただした。

国家公務員の平均報酬658万円

   NHK出身の小宮山洋子・厚生労働相の答弁によると、NHKは保険料率5.35%、平均報酬1041万円、国家公務員は6.71%と658万円。協会けんぽでは9.34%、371万円だった。いずれも2010年度の数字のようだ。平均年齢には触れられていない。

   ちなみに、予算委では出てこなかったが、大企業などが参加する健康保険組合連合会(健保連)の数字は、厚労省によると7.67%、536万円だ。

   桜井議員は、保健料率に差があるのは不公平だと考えているようで、基本は折半とされる事業主と個人との負担割合が、NHKでは事業主62%、個人38%だとも指摘した上で、

「(NHK職員は)こんなに恵まれている。こうした保険負担の不公平を是正するのが民主党だ」

と主張した。

   答弁を求められた野田佳彦首相は「今の数字をきく限りでは、大分開きがある、不公平感があるなと改めて思いました」と感想を述べた。

   野田首相が「不公平」を感じたのが、保険料率の差に対してだけなのか、平均報酬も含めた全体なのかは不明だ。

   しかし、産経新聞が9月28日夜にこうしたやりとりをまとめた記事を配信すると、ネット上では、「受信料を強制徴収しながら平均報酬1041万円は、もらい過ぎではないか」といった趣旨の指摘が相次いだ。保健料率の差よりも平均報酬の額の方に関心が集まったようだ。中には「受信料を払ってないから気にならない」という声もあった。

NHK「放送事業の特殊性から、基準外労働が多い」

   NHKの平均報酬1041万円は、「もらい過ぎ」なのだろうか。

   例えば民放はどうか。経済誌、週刊ダイヤモンド(2011年7月16日号)によると、2010年度の上場企業の平均年収上位は、全体1位は朝日放送(大阪市)で1383万円。次に登場する民放は5位の「TBS HD」1338万円。以下、6位日本テレビ1333万円、9位テレビ朝日1275万円と続く。テレビ東京HDは14位1234万円だ。

   NHKは同ランキングの対象外だ。「1041万円」を単純比較すると、30位の三菱地所(1044万円)の少し下あたりの32位に位置する計算になる。

   まとめると、(日本放送協会健康保険組合に加入する)NHK職員は、平均的な国家公務員よりは1.6倍弱の年収があるが、民放より安い、ということになる。

   NHKの管理職以外の職員が参加する日本放送労働組合(日放労)にきいてみると、「平均報酬1041万円、という数字は把握していない」「コメントする立場ではない」との回答だった。

   NHK広報局によると、「平均報酬1041万円」には、基準外賃金や通勤交通費なども含まれている。また、

「NHKでは、災害・事件事故報道への対応など放送事業の特殊性から、時間外、深夜、休日勤務などの基準外労働が多く、平均報酬は一般企業より高い水準となっています」

との考えも示した。