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暴力団キャンペーン続ける週刊現代 不当な取材活動と吉本側が抗議

   吉本興業グループの芸能プロダクション、よしもとクリエイティブ・エージェンシーが、「週刊現代」と発行元の講談社に対して抗議文を出した。

   所属タレントに対して、週刊現代の記者が度を越した取材をしたと主張。「不当な取材活動について、極めて遺憾」と厳しく指摘している。

「報道機関のモラルを著しく欠いた行動に憤慨」

紳助さん引退後、毎号特集を組んでいる
紳助さん引退後、毎号特集を組んでいる

   吉本興業のウェブサイトにアクセスすると、トップページ上段に「講談社週刊現代の取材活動に関する抗議」とある。公開での抗議文だ。

   文書は2011年10月13日付。よしもとクリエイティブ・エージェンシー代表取締役、水谷暢宏氏の名で、講談社代表取締役の野間省伸氏、週刊現代発行人の出樋一親氏、同編集人の鈴木章一氏に対して、編集部の取材活動に対する抗議を行ったとある。

   具体的には週刊現代の記者が、よしもとクリエイティブの所属タレントが経営する企業の監査役を務める人物を、アポイントなしのまま訪問し、「よしもとから頼まれて取材をしている」と虚偽の事実を告げて取材に及んだとしている。さらに記者は、警察からこの監査役の経歴などについて説明を受けたと伝えたというが、よしもと側によるとこれも「虚偽」。

   監査役は「記者の説明が虚偽であると分かっていたら取材には応じなかった」「不当な手段で引き出したコメントを利用した記事を掲載するということであれば、厳重に抗議したいし、これを差し止めたい」旨をよしもとに対して述べたとなっている。

   記者と監査役それぞれの具体的な氏名は、文書の中では明かされていない。よしもととしては「名義を利用された」として、記者の行動を「報道機関のモラルを著しく欠いた行動に憤慨」。加えて、他の記者についても「行き過ぎた取材行為が目に余り、非常に迷惑している」と怒りをぶつけている。

週刊現代編集部「まったくの事実無根です」

   よしもとクリエイティブは野間氏ら3人に謝罪と、「なぜ不当な取材活動が多発するのか」を調査し、その結果と再発防止策について報告を求めている。文書を読む限り、今回の監査役の人物に対する行為だけでなく、過去の週刊現代の所属タレントに対する取材方法に会社として納得できないようだ。

   週刊現代は、2011年8月23日に島田紳助さんが暴力団関係者との交際を巡って芸能界引退を発表して以降、毎号関連特集を組んでいる。矛先は、紳助さんが所属していたよしもとクリエイティブの親会社、吉本興業にも向けられた。10月15日号には「知れば知るほど怖くなる吉本興業と暴力団」、10月22日号は「吉本とヤクザ まだあるこんな『密接関係』」と大きく見出しをつけた記事を掲載した。10月15日号では、明石家さんまさんを直撃して、紳助さんの引退に関する取材を行った様子も書かれていた。

   最新号でも、吉本興業に契約を解除されたベテラン芸人の独占インタビューで、暴力団とつながりがあるとされる芸人と吉本との「関係」を生々しく伝えた。一連の記事と今回の抗議が直接関連しているとは言い切れないが、毎号鋭く「徹底追及」される吉本興業としては、気持ちのいいものではないだろう。

   今回の抗議文について、週刊現代編集部はJ-CASTニュースの取材に10月17日、ファクスでコメントを寄せた。

「まったくの事実無根です。吉本側とのやりとりはすべて記録してあります。吉本側には厳重に抗議し、削除を求めました」