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読売「横一線」朝日「橋下断然優位」 大阪市長選「世論調査」バラバラのなぜ

   橋下徹氏が大阪府知事を退任し、大阪ダブル(府知事、大阪市長)選が事実上、火ぶたを切った。

   ひところは「支持率8割超え」を誇った橋下氏をめぐっては近頃、複数の月刊・週刊誌で、出自などに関していわゆるネガティブ記事が掲載された。橋下氏へ吹いている「風」は、依然順風なのか、それとも逆風なのか。

橋下氏の支持率は減速気味

新大阪市長の座をめぐる争いが本格化する。
新大阪市長の座をめぐる争いが本格化する。

   橋下氏は大阪市長選へ転じ、現職の平松邦夫市長らと対決する。ダブル選の投開票は11月27日。告示は、府知事選が10日、市長選は13日に迫っている。

   「決戦」まであと1か月を切っているが、最新の世論調査結果を複数見る限り、橋下氏への「風向き」はよく分からない。

   というのも、2011年11月1日付朝刊で、読売新聞と朝日新聞が、ダブル選に関する府内有権者への電話世論調査の結果をそれぞれ載せたのだが、大阪市内の有権者を対象とした市長選調査については結果が「バラバラ」なのだ。

   読売新聞では、橋下氏と平松氏について「横一線」と報じている。一方、朝日新聞では、府民に聞いた結果は「橋下氏50%、平松氏26%」で、大阪市民に限っても「同様の傾向」としている。とすれば、ほぼダブルスコアで橋下氏が優勢ということになる。

   「横一線」か「ダブルスコア」か。受ける印象はかなり違う。

   ただ、朝日調査でも、橋下氏の支持率は減速気味だ。2010年1月末実施の調査では79%あった支持率も、11年8月調査で65%、今回(10月29、30日実施)は54%(知事としての支持率)と下がっている。

   8月の朝日調査でも、橋下氏が知事の任期途中で辞めて市長選へ転じることについては、「賛成29%、反対56%」と批判的な声が強かった。

   もっとも、今回の朝日調査では、平松氏の支持率も前回の32%から今回27%へ下がっている。

雑誌報道は「影響なし」か

   市長選の構図は、地域政党「大阪維新の会」を率いる橋下氏と、民主と自民の市議団が推薦する平松氏の対決が軸となっている。無党派層の動きはどうか。

   読売調査によると、無党派層は「全体の6割」を占める。市長選では橋下氏と平松氏が無党派層の「各3割以上」を分け合っている。

   両調査について、少し詳しく見比べても、やはり「風向き」はよく分からない。

   元参院議員、元衆院議員(新進党など)で、府内在住の政治評論家、中村鋭一氏(81)にきいてみた。中村氏は、元朝日放送(大阪市)アナウンサーで、「日本初のパーソナリティ」としても知られる。

   中村氏によると、あくまで感触としては、朝日調査のように「ダブルスコアで橋下氏先行」ほどには差は開いていない。さりとて読売調査の「横一線」にも違和感があり、「現状では橋下氏の方が話題性もあり、ややリードしているのでは」と分析する。

   「新潮45」や週刊文春などの「ネガティブ記事」の影響については、今後も「ない」との見立てだ。

「大阪の人間は、ああいう雑誌記事には振り回されません」

   いずれにせよ、市長選の「風向き」はともかく、「風速」の方は、少なくとも「突風」ではないようだ。

   「橋下氏が掲げる大阪都構想へは賛成だが、橋下氏の進め方は性急すぎる」といった声がある一方、「都構想は反対だが、橋下氏の姿勢は支持したい」という意見の人もおり、「ねじれ」現象もみられる。中村氏は「迷っている人が多いのではないか」という。

   市長選ではほかに、前共産市議の渡司考一氏が立候補を表明している。