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「iPhone効果」はやっぱり強力 KDDI純増数でドコモ抜き去る

   KDDIが、携帯電話契約数を大幅に伸ばした。2011年10月の純増数はNTTドコモを抜き2位で、首位ソフトバンクモバイル(SBM)を猛追する。

   契約先を変更しても同じ電話番号を使える「番号持ち運び制度(MNP)」でKDDIに移った件数も7万件に迫る勢いだ。米アップルの「アイフォーン(iPhone)4S」のインパクトが大きかったと見られる。

予約なしで購入できる店多かった

KDDIの「iPhone戦略」次の一手は
KDDIの「iPhone戦略」次の一手は

   携帯電話各社が2011年11月8日に発表した10月の携帯電話契約数のうち、KDDIは、新規契約から解約を差し引いた純増数が19万6900件と、9月の12万5300件から拡大した。さらにMNPでは6万8700件の転入超となり、9月の8700件と比べてこちらも大幅に増加している。 KDDIは10月14日にiPhone 4Sを発売、それまでのSBM独占販売を崩したことで発売前から話題を集めた。10月の好結果についてKDDI広報に要因を聞くと、「iPhoneだけでなく、(米グーグルの基本ソフト)アンドロイドを搭載したスマートフォンも堅調に伸びた」と説明した。確かに10月に入って、台湾HTCの「EVO 3D」など新たなアンドロイド端末を出している。しかしiPhone 4Sの場合、世界7か国での予約注文数が初日だけで100万台を突破するなど、存在感は圧倒的だ。他社からKDDIへの移転が加速したのも、iPhone 4Sが貢献したと容易に想像できる。

   同じくiPhone 4Sを扱うSBMは、10月の純増数が24万4600件と、前月比で2万8100件減らした。ただSBM広報によると「8月と比べると10月の方が増えており、純増数20万件を維持できている」と強気だ。iPhone 4Sは「予約が過去最高で、現在も入荷を待っている状態」と説明する。

   調査会社BCNは10月27日、iPhone 4Sの販売状況をリポートした。量販店の実売データに基づくもので、アップル直営店やKDDI、SBMの店頭などをカバーしていないが、発売2週目となる10月17日~23日は、KDDIのシェアが59.5%でSBMを上回った。品薄が続いていたSBMに比べて、KDDIは予約なしで購入できる店が多かったと解説している。 SBMの10月のMNPを見ると、6600件の転入超。「プラス」は保ったがKDDIより随分少ない。iPhone 4Sをめぐって、流出を防ごうと「守り」のSBMと、新規参入で「攻め」のKDDIの構図が、数字となって表れたようにもとれる。

アンドロイド機続々で「差別化難しい」

   一方、iPhoneを販売していないNTTドコモは8万9600件の純増だったものの、KDDIに抜かれて3位に転落。MNPでは7万5000件の転出超と「ひとり負け」の様相だ。

   10月の契約数に限ると、iPhone 4Sが携帯各社の勢力図を変えるほどの威力を発揮したようだ。アスキー総合研究所の遠藤諭所長は、「iPhoneが特別な存在であることは間違いない」と認める。ただし、今日のスマートフォンの国内シェアは、「アンドロイド」搭載機が主流となっている。MM総研の調査では、2011年度上半期のスマートフォン出荷台数でアンドロイド機が79.6%と圧倒している。遠藤氏は「各社とも続々とスマートフォンを出すなかで、差別化が難しくなってきた。そこにKDDIが『iPhone』という強力な武器を投入したことで、大手3社の位置関係に変化をもたらしたのではないか」と分析する。

   とはいえ、KDDIによる「iPhone戦略」は、「まだ始まったばかり」(遠藤氏)。発売1か月足らずの状況だけで判断するのは早すぎるが、KDDIがこの「強力な武器」をどう生かしていくかが見ものだ。