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伊方原発、四国で温度差 地元愛媛は「不安」、香川・高知は「再稼働」容認

   再稼働に向けてのストレステスト(耐性検査)の結果が提出されたばかりの四国電力伊方電子力発電所(愛媛県伊方町)をめぐり、四国内でも各県で温度差が出ている。「お膝元」の愛媛県では「不安だ」といった声が多い一方、香川・高知では再稼働を容認する声も多い。

   伊方原発をめぐっては、定期検査で停止中の3号機の再稼働が現時点での最大の焦点。四電は2011年11月14日、再稼働の前提となる耐性評価(ストレステスト)の1次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。この後、さらに厳しい条件での2次評価が行われ、最終的には首相や経産相が再稼働の可否を判断する。

「容認」でも安全対策求める声相次ぐ

   仮に政府がストレステストの結果「原発の安全性が確認された」と判断したとしても、再稼働は地元自治体の同意が不可欠だ。四国の地元各紙が行った世論調査やアンケートによると、県ごとの温度差が浮き彫りになっている。

   例えば、6月下旬から7月上旬にかけて高知新聞が県内34市町村長に対して行ったアンケートでは、高知市長ら23人(67.6%)が「条件付きで再稼働」を容認。ただし、伊方原発に近い梼原町や津野町を含む11人(32.4%)は「再稼働すべきでない」とした。

   今後の原発のあり方については、「段階的な廃止」を掲げた人が29人(85.3%)にのぼった。

   また、四国新聞が11年11月14日に報じたところによると、香川県内の17市町に対してアンケートで、大半の12市町が条件付きながら再稼働を容認。条件の中には、

「原発以外の発電総量で不足が生じる場合に限って」(琴平町)
「ソフト、ハード両面でこれまで以上の安全対策」(観音寺市)

といったものがあった。

愛媛県では6割以上が再稼働反対

   だが、地元の愛媛県の反応は、再稼働に否定的だ。地元の愛媛新聞が8月上旬から9月にかけて行った世論調査では、ストレステスト後、政府が原発の安全性を確認したことを前提に「すみやかに運転再開するべきだと思いますか。思いませんか」という問いに対して、「再開に賛成」が10.0%、「どちらかといえば賛成」が26.5%。これに対して、「どちらかいえば反対」が37.7%、「再開に反対」が25.8%と6割を超えた。原発の安全性については、「どちらかといえば不安」34.7%、「不安」59.1%と、不安を訴える声が9割を超えている。

   さらに、

「四国電力は現在、発電量の約4割を伊方原発でつくっています。伊方原発の今後についてどうするべきだと考えますか」

という問いにも、「規模拡大」1.5%、「現状維持」22.2%、「規模縮小」18.0%、「段階的縮小後に廃止」45.6%、「すみやかに廃止」12.7%と、廃止論が過半数だ。

   伊方原発の3号機をめぐっては、06年に行われたシンポジウムで、保安院の要請を受けた四電が社員を動員して「やらせ質問」をさせていたことが11年8月に発覚。このことが、県民の不信感を高めているものとみられる。