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「清武追放」で原監督は針のムシロ 巨人は来季「内紛」「崩壊」の恐れ

   反逆への見せしめ、といえる巨人の人事だった。

   2011年11月18日、渡辺恒雄会長の球団介入を批判した清武英利球団代表を切り捨てた。この騒動が来シーズンに影響することは確実だ。チームが崩壊に向かっていく可能性がある。

松井秀喜を取り戻せの声も

   憎しみの人事であることはだれもが感じただろう。代表職を解任しただけでなく、あらゆる職を奪い去った。さらに「許可なく会社には入れない」という処置にそれが如実に表れている。

   桃井恒和オーナーが長嶋茂雄終身名誉監督の「解任は当然のこと」というコメントまで発表したのには驚いた。長嶋の名前を持ち出すことで世間の風当たりを和らげようとしたようである。

   巨人はこれで一件落着との考えだが、とても思惑通りにはいかないだろう。たとえば渡辺会長が明かした原辰徳監督の推薦による江川入閣で降格されるはずだった岡崎郁コーチだ。ヘッドコーチとして生き残ったものの、原監督との間はぎくしゃくするだろう。周りのコーチたちもおかしな雰囲気になる。選手たちも平常心を保っていられるかどうか。

   OBの中には早くも「本来なら代表だけでなく監督もクビ」と強硬な意見も出ている。「騒動のおかげ」もあって2年契約を手にした原監督の来シーズンは針のむしろである。スタートダッシュでつまずくことがあれば、途端に内紛の余波を指摘される。このオフ、かなりの補強をしないと来季は勝てない。とりわけ打線は大砲獲得がカギになる。

   かつての4番打者、松井秀喜を戻せ、という声がある。現在のところ、松井の行き場所は不透明で、今年在籍したアスレチックスも冷ややかな対応だけに、可能性はゼロではない。

菅野は浪人してまで巨人にこだわるのか

   さらに気になるのは原監督の甥にあたる東海大の菅野智之投手の進路だ。日本ハムに1位指名されたものの、前進がない様子。浪人をしてまでも巨人入りの意志を貫くかが焦点になっているが、今回の巨人騒動で変化が生じる可能性もあるだろう。怖い球団、と感じても仕方がない。

   「清武抹殺」は、巨人の隠された一面をさらけ出したともいえる。力づくで押しつぶすやり方、と多くの野球ファンが認識したかもしれない。長嶋終身名誉監督をして「巨人の歴史で初めての出来事」と言わしめた騒動は、そう簡単に収まりそうもない。清武前代表がどう次の手を打ってくるか。このまま黙っているとは到底思えない。新たな場外戦となる第二幕は間もなく開くだろう。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)