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スマホは盗撮用マシンになったのか? シャッター音消すアプリでやりたい放題

   スマートフォンのカメラを使用し、女性のスカートの中を盗撮する犯罪が急増している。日本で販売されているスマートフォンは本来大きなシャッター音がするが、そのシャッター音を消すアプリを入手して行為に及んでいるという。

   アプリは無料で入手でき、スマホの高性能を使って撮影写真を瞬時に隠すこともできる。スマホは携帯電話に比べ不審な行動を見分けにくいとも言われ、「抜本的な対策をしなければ被害は更に増えていく」と専門家は警鐘を鳴らしている。

10代女性のスカート内にスマホを入れて撮影

   スマホを使った盗撮事件が相次いでいる。2011年12月14日には、相鉄線の電車内に乗車していた高校3年の女子生徒(18)を撮影したとして、日本大学の男子大学生(22)が乗り合わせていた神奈川県警港北署の署員に逮捕された。

   また11月11日には警視庁が男性巡査(23)を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。男性巡査はJR南武線分倍河原駅構内で10代女性のスカート内にスマホを差し入れ盗撮し現行犯逮捕された。いずれの事件も犯人は、カメラのシャッター音を消すアプリを入手し使用していた。

   ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルに話を聞いてみると、日本では各社ともに自主規制で携帯電話やスマホのシャッター音が鳴る仕様になっていて、音を消すことは原則的に禁止としている。理由としては、撮影される側が撮影されていることを認識できるようにするためで、盗撮防止の狙いもあるという。ドコモ広報によれば、NTTドコモのスマートフォン向けポータルサイト「dメニュー」で販売する商品に音を消すアプリは置いていないという。

シャッター音を消すアプリの規制はできない

   しかし、ネットで検索すれば音を消すアプリが多数販売されていて、1つ100円、あるいは無料というものもある。音を消すのは原則禁止なわけだが、使用目的が盗撮とは限らず、静かな場所で写真撮影をしたり、動物が驚かないように消したりする場合もある。

「お客様には様々なニーズがあり、音を消すアプリを使っていたとしても、罰則などを設けられないのが現状です」

とドコモ広報は話している。

   フリーライターの福田和宏さんによれば、シャッター音のオン、オフができない仕様になっているのは日本独特の規制だという。携帯電話を使った盗撮事件はもともと起こっていたが、スマホの時代になったことで、さらに悪用が増えるのではないか、と警鐘を鳴らす。携帯電話は折りたたみ式がほとんど。写真を撮るときは、いったん蓋を開け、広げる必要がある。これに対しスマホの場合は、そうした操作が不要で不審な行動がわかりにくいからだ。

「音を消すアプリを禁止したとしても、スピーカーを切断するなど、音を消す抜け道はいくらでもある」

とし、防犯を進めるための抜本的な対策を考えなければならない、としている。