J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「仙台にパンダ呼ぶため募金したんじゃない!」 ジャニーズ事務所の「復興支援」に批判

   ジャニーズ事務所が震災復興支援で集めた募金を仙台のパンダ誘致に回すと明かしたところ、ネット上などで批判が相次いでいる。パンダに金を出せば、本当に復興支援になるのだろうか。

   発案者は、ジャニーズ事務所の社長候補ともされるマッチこと歌手の近藤真彦さん(47)だった。

マッチが5年で約50億円を全額負担表明

   真彦さんがスポーツ紙各紙に明かしたところによると、2011年夏に仙台市立八木山動物公園のパンダ誘致計画が被災者からの批判もあってとん挫したことを知った。そこで、事務所の復興支援プロジェクト「Marching J」の募金をファンらの目に見える形で使えると考え、誘致資金に回せないかと提案した。そして、水面下で中国などと交渉するとともに、12月22日には野田佳彦首相に直談判した。野田首相も前向きな姿勢を示し、25日の日中首脳会談でパンダのつがいを貸与する方向になった。

   ただ、パンダを呼ぶのには多額のお金がかかる。1頭年約4000万円のリース代のほか、中国からの輸送費約5000万円、飼育舎建設費、えさ代、人件費などと負担しないといけない。それでも、ジャニーズ事務所は、5年で50億円ほどもかかるという費用をすべてまかなうというのだ。募金で足りない分は、関連4社からの寄付金を充てるとしている。

   こうした募金の使い方について、ネット上では、疑問がいくつも出ている。「復興に使うと言って金を集めて、パンダに使うってのは使用目的を詐称してる」「中国に金が流れるだけじゃねーか」「被災者の為になる事に使えよ・・」などだ。また、所属のSMAPが11年9月16日に北京コンサートをしていたことから、「次は嵐を呼んで貰えるようにする為の作戦」といったうがった見方まであるようだ。

   もっとも、「パンダを仙台に送ろうって話だから十分復興支援だろ」「ジャニオタがそれで良ければ構わん」と指摘する向きはある。

パンダ来日は、5年ほどもかかる可能性

   仙台市にも、募金したという人から意見が来ている。

   メール数十件のほか電話も数件来ており、「パンダを呼ぶために募金したんじゃない!」などと、ほとんどが誘致に反対だという。

   仙台市の建設局次長は、取材に対し、反対意見について、「ジャニーズ事務所への意見ですので、私どもではコメントしようがありません」と話す。事務所が中国との関係強化に利用しているのではとの指摘には、「どんなお気持ちでやっているのか私どもでは分かりません」として、コメントするのを避けた。

   ジャニーズの援助表明については、「ありがたく受け入れたい」として、辞退することは考えていないとしている。

   5年で50億円かかるという誘致費用について、建設局次長は、「そんなにかからないのでは」とした。レンタル料が5年で4億円弱、飼育舎建設費が3~4億円と合計で7~8億円にしかならないからだという。

   入園者について、市では、初年度の入園者が現在より倍増して約100万人になり、市内で50億円の経済効果があると試算している。

   ただ、パンダのつがいを2011年4月から公開している上野動物園では、入園者数は、倍増した1972年の初飼育時に比べ、1.5倍ほどに留まっている。仙台市で、それほどの経済効果があるのかは未知数だ。

   さらに、仙台市にパンダが来るのは、飼育舎完成が間に合わないため12年中は難しく、場合によっては5年ほどかかるともいうのだ。それは、神戸市立王子動物園もパンダ来日までに5年かかったからだ。

   これで本当に震災復興支援になるのかなどをジャニーズ事務所に取材しようとしたところ、事務所では、宣伝部の担当者が不在だということで話が聞けなかった。