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ローソン、サントリーなどが就学奨学金 経済界の復興支援、1200億円超に

   経団連は2012年3月2日、東日本大震災復興のため、経済界全体で昨年9月末までに1224億円を支援したことを明らかにした。内訳は企業・団体からの支援が1011億円と大半を占めるが、社員や顧客からの寄付金213億円も含まれている。

   将来にわたる、継続的な支援を表明している企業も多く、トータルな支援額はさらに増えていくことになりそうだ。

社員と会社がお金を出し合うケースも

   企業からは食品、衣料品、医薬品などの現物148億円と金銭715億円の寄付があった。金銭の67%が被災地への義援金、26%がNPOなどへの支援、5%が自社の設立した奨学金・助成金として使われたという。

   奨学金や助成金を設けた企業はサントリーホールディングス、ローソン、積水ハウス、三菱商事など34社、総額29億円。 震災で就学が困難になった児童・生徒や学生向けに企業が設立した奨学金は、次のようなものがある。いずれも奨学金の返還は求めないという。

▽ローソン=高校1年生から最長7年間、月額3万円を支給。メンタルケアなども支援。

▽双日=大学の学部生年間30人を月額7万円、5年間支援。

▽サントリーホールディングス=総額15億円の基金で青森、岩手、宮城、福島県の水産高校の生徒を支援。

▽積水ハウス=従業員が1口100円から任意の口数を給与天引きで寄付し、同じ金額を会社も拠出する共同寄付制度を10年間継続。

ヤマトは純利益の約4割、140億円を支援

   奨学金以外の支援も多彩だ。

▽武田薬品工業=アリナミン錠剤1錠、ドリンク1本当たり1円を積み立て、年間8億円を複数年にわたって復興支援に拠出。

▽ヤマトホールディングス=宅急便1個につき10円の寄付を1年間継続し、地域の生活基盤の復興、水産業・農業の再生に役立てる。

▽小林製薬=自社製品1個につき1円、約3億円を被災した子どもたちや被災地の復興支援に寄付。

   いずれも、ユニークな方式だ。ヤマトホールディングスによると、2011年度に取り扱う宅急便は約14億個で、純利益の4割程度に当たる約140億円を支援に充てる見通し。同社は「宅急便を35年間育んでくれた東北の地域、社会、産業への恩返しと思って実施している」という。

   今回の調査は昨秋、経団連の会員企業・団体1485社を対象に行い、514社から回答を得た。経団連によると、回答には会員企業・団体の子会社を含む全国約9400社のデータが反映されているという。

   今回の経済界の支援額の大きさを阪神大震災と比較するのは困難だが、経団連によると、阪神大震災発生後1か月の支援額は204億円で、東日本大震災の発生後1か月の支援額は296億円。両震災を比較できるデータはこれしかなく、単純計算では阪神大震災の支援額を5割近く上回ったことになる。

   こうした金銭的な数字には表れないが、経団連の会員企業への調査では、被災地でボランティア活動した社員は259社のべ18万人にのぼるという。一部のコストを会社が負担しているケースも少なくない。まだまだ復興のめどがつかないだけに、今後もこうした地道な支援が続くことになりそうだ。