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JAL営業益2049億円と過去最高更新 大震災で落ち込んだ需要ハイペースで戻る

   経営再建中の日本航空(JAL)は2012年5月14日、12年3月期の連結営業利益が2049億円で過去最高を更新したと発表した。コスト削減が順調に進んだ上、東日本大震災で落ち込んだ旅客需要が予想よりも早く戻ったため。

   一方、13年3月期の業績については減益を予想。経営陣は「保守的な数字」という言葉を繰り返した。

「これほど早くお客様に戻って来ていただけるとは」

左から大西賢会長、稲盛和夫名誉会長、植木義晴社長
左から大西賢会長、稲盛和夫名誉会長、植木義晴社長

   JALが経営破たんした際の更生計画では、12年3月期の営業利益は757億円と見込んでおり、これを「必達目標」と位置づけてきた。これを12年2月には1800億円と上方修正したが、4月24日の定例会見では、これを「大幅に超えるものと推測している」(植木義晴社長)と、上振れする見通しを示していた。植木社長は、

「これほど早くお客様に戻って来ていただけるとは思っていなかった。嬉しい悲鳴」

と笑顔を見せた。売上高は1兆2048億円、経常利益が1976億円、最終利益1866億円だった。

   同時に発表された13年の3月期の業績予想は、売上高1兆2200億円、営業利益1500億円、経常利益1400億円、最終利益1300億円と減益予想となった。

減益予想は「保守的な数字を立てている」

   これについて植木社長は、

「保守的に、さまざまなデータを取らせていただいている」

として、(1)為替の影響で燃油コストが上昇する(2)航空機材の償却期間を短縮したため、機材費が増加する(3)夏のボーナスを引き上げるため人件費が上昇する(4)サービス技術の向上のために施策を行っている、といった点で費用が増加する見通しを示した。

   JALは12年2月に発表した12~16年度の中期経営計画では、グループ全体で4780億円を新機材に投入するなど成長路線を鮮明にしているが、稲盛和夫名誉会長は、

「この業界は様々なイベントリスクにさらされるだけに、保守的な数字を立てている。『ゆけゆけどんどん』で、拡大路線をとっていくことは幹部も社員も考えていない」

と、慎重な姿勢を示した。

   再上場の時期については、植木社長は

「今はお話しできる部分はない」

と言及を避けた。

稲盛名誉会長「今のJAL経営陣は他社の再建できる」

   また、会長就任直後に「八百屋の経営もできない」と当時のJAL経営陣を批判したことについて改めて聞かれると、稲盛氏は

「私自身も色々指導したが、その熱心さ、努力ぶりに感心するぐらいにやってくれる。今では、どこの会社の経営陣よりもすぐれた経営をするのではないか。もし、今のJALの経営陣の方々が他の会社の経営をやっても、うまくいっていない会社の再建もできるぐらいに変わってくれたのではないか」

と自画自賛した。