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喫煙、携帯、アルコール… 機内でキレる乗客急増の背景は

   旅客機内で暴れたり騒いだりする人が、年々3割増しのペースで多くなっている――。世界の航空会社でつくる国際航空運送協会(IATA)が、こんな統計結果をまとめた。背景には、格安航空会社参入があるというのだが…。

「キレやすい乗客が増えた? 機内の問題行動、世界で急増」

背景には、格安航空会社の参入増?

対応の違いは関係ある?
対応の違いは関係ある?

   米メディア「CNN」は2012年6月11日、こんなニュースを日本語版サイトにも流した。それによると、IATAの統計で、問題行動を起こす乗客が08~10年に年30%弱の割合で増えていた。特に、携帯電話の使用やアルコールで酔うことによるトラブルが多いという。

   IATAは、国際的な規制緩和の流れで、格安航空会社が次々に参入していることに伴って問題行動が増えていると分析する。こうした会社が加入していないIATA加盟の各航空会社では、客室乗務員の研修に力を入れ、行き先を変更したり警察に通報したりするのを避けるように努めているとしている。

   国交省の航空保安対策室によると、日本の全航空会社から報告された安全阻害行為は、04年が約400件あったのが、11年が約150件と半分以下に減っている。多いのが、化粧室での喫煙行為だという。07年まではやや増加傾向だったが、対策室では、04年の航空法改正で罰則ができた効果が出始めてから減ったとみている。

   格安航空会社に限って安全阻害行為が増えたのかは、対策室では分からないとしているが、各社は、どう見ているのか。

スカイマーク「コメントはありません」

   異色のサービスコンセプト文書を機内で配って波紋を呼んだスカイマークでは、「問題行動が増えているかどうかは資料が手元にないのでお答えできません」(広報担当者)と説明した。

   サービスコンセプトでは、接客は補助的なものという客室乗務員に丁寧な言葉遣いを義務づけておらず、安全管理のために厳しい口調で注意をすることもあるとしていた。コンセプト化したのは、問題行動があったからというより、苦情を入れる乗客がいたためだという。IATAが問題行動の背景に格安航空会社の増加があるとしたことについては、「コメントさせていただくことは特段ありません」と話すのみだった。

   サービスコンセプト文書は、東京都消費生活総合センターからの抗議ですでに回収しており、一部表現を変えるものの、主な文面はそのままで2012年6月14日にも再配布するとしている。

   一方、IATAに加盟している日本航空の広報部では、問題行動についてデータを出していないとしながらも、「客室乗務員は接客の訓練を受けており、問題行動を発生させないよう丁寧な対応に努めています」と強調した。

   例えば、アルコールについては、上空は酔いやすいため、泥酔状態になる前に水を飲むことを乗客に勧めているという。苦情についても、「おっしゃっていただければ今後のサービスに生かします」としている。

   もっとも、サービスがいいということは、航空運賃も高いということだとも言えそうだ。