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松坂、待望のメジャー復帰するも連敗 バレンタイン監督と心中か?

   レッドソックスの松坂大輔が戻ってきた。右腕手術からおよそ1年。しかし、回復は道半ばといった投球で、早すぎた復帰と思える。采配でピンチに立つボビー・バレンタイン監督の犠牲になるのでは、との不安がある。

2戦計7失点で連敗。復帰は早かった?

   2012年6月9日の地元ボストンでのカムバック登板は昨年5月以来390日ぶり。ナショナルズ相手の内容は先発で5回を投げ、5安打で4失点。本塁打も一発浴びて敗戦投手となった。

   「この日が待ち遠しかった。わくわくする気持ちを抑えるのが大変だった」と松坂。それでも久しぶりのマウンドに「できる、という気持ちと、大丈夫かな、という不安があった」と緊張していたようである。

   そして「投げることができて楽しい」と復帰第1戦を総括した。

   第2戦は15日。カブス相手に6回を投げ4安打3失点。この試合は立ち上がり3四球で満塁とされた後、長打を打たれて2点を許し、2回にも追加点を奪われるという頼りない投球だった。

   「見た通りです」と不満たっぷり。付け加えて「悪いながらもうまく投げなければいけないのに、立ち上がりはそれができなかった」

   同じ日、レンジャースのダルビッシュ有がアストロズ戦で8勝目を挙げている。8回を7安打2失点。後半には3者三振を2度奪い、11三振に切って取った。日本球界の新旧エースの明暗が出た1日だった。

   ボストンでは松坂復帰について「期待できそう」「以前の松坂ではない」と評価が分かれている。2試合の投球フォームを見ると、本来のオーバーハンドに比べ横から投げている感じで、手術の後遺症がうかがえた。

   どう見ても完全な状態ではない。速球の威力、変化球の切れ、コントロールから判断すると、メジャー復帰は早すぎたのではないか、と思う。7月のオールスター戦以後、つまり後半戦から戦列に戻るよう、しっかり調整し万全な状態にした方が本人、チームのためにもプラスであっただろう。

   この時期の松坂復帰は、ロッテ監督を務めたこともある日本でもおなじみのバレンタイン監督の事情があったと見ている。いまチームは低迷。ライバルのヤンキースが順調に勝っているだけに、新監督の手腕に対する地元メディアの批判はきつい。

主力選手掌握しきれないバレンタイン監督の「切り札」

   実はバレンタイン監督と主力選手の間には違和感がある。きっかけは4月半ばの出来事。チームの要の選手について「肉体的にも精神的にも以前のようではない」と発言。その主力は「私はいつも全力でプレーしている」と不快感を示し、監督室に乗り込んでボスに直接抗議した。

   この余波はチームが反監督の形となって表れた。「日本では(選手批判は)通じるかもしれないが、レッドソックスではそうはいかないよ」などと、主力選手から次々と監督に背を向ける発言が相次いだ。バレンタイン監督といえば、日本でも一言多くてフロントとぶつかっていたが、レッドソックスでもスタイルは変わらないらしい。

   この「口は災いの元」がたたったのかチームは調子が上がらない。そこで、松坂に頼った、というのである。日本人大リーガーに窮地脱出を委ねたわけで、そうなると松坂は監督のクビに影響することになるから穏やかではない。

   松坂にとっては迷惑な話である。松坂はこのままでは再度のファーム調整もあるし、シーズン終了後には契約もなくなる可能性がある。来年のシーズン・オフには二人で心中、と、とんだバレンタイン・デーになるかもしれない。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)