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自衛隊訓練に11区が「庁内立ち入り拒否」  理由は、はたして何だったのか

   首都直下型地震を想定して行われた自衛隊の訓練で、東京23区のうち11区が、自衛隊員を区役所の庁舎内に立ち入らせていなかったことが明らかになった。

   自衛隊側は「事前に口頭で要請したが、受け入れてもらえなかった」とする。ただ、なかには「要請は受けていない」と話す自治体もあり、連絡に行き違いがあった可能性もある。

2人1組で練馬駐屯地から区役所まで徒歩で出向く

   問題が指摘されているのは、2012年7月16日夜から17日に午前にかけて行われた訓練。道路や通信手段が寸断されたという想定で、陸上自衛隊第1師団(東京都練馬区)の連絡要員の隊員が2人1組で東京都内の23区役所に徒歩で出向き、通信訓練を行うというもの。

   陸上幕僚監部の広報室の説明によると、事前に各区役所に対して(1)駐車スペースを使わせて欲しい(2)庁舎内のスペースを仮眠所として使用させてほしい(3)防災担当職員に立ち会って欲しい、と事前に口頭で要請したものの、(2)について、11の区から

「16日は祝日なので、宿直しかおらず対応できない」

などとして協力を断られたという。

   この問題をめぐっては、産経新聞が7月23日の紙面で「『迷彩服見せるな』 11区が自衛隊拒否」と見出しを立てて大きく報じている。記事では、市民グループが「自衛隊に区の施設を使わせるな」など申し入れをしていることを背景として挙げており、

「区民に迷彩服姿を見せたくなかった」

という区の担当者の声を紹介している。

千代田区「仮眠所としての使用など要請なし」

   だが、協力を拒んだとして記事で名指しされた千代田区は「記事は誤り」として怒り心頭だ。環境安全部防災・危機管理課の説明によると、(1)については事前に文書で要請があり、受け入れたが、(2)(3)については、訓練当日も要請はなかったという。具体的には、自衛隊員が数人区役所を訪問したが、あいさつをした程度で、特段「仮眠所として使わせてほしい」といった話もなく、20分程度で引き上げていったという。

   同課では、

「災害対応要員が24時間詰めており、対応しようと思えばできた。3.11の時には、迷彩服姿の自衛隊員が区役所に来ており、情報共有した実績もある。自衛隊からの依頼があれば、全面的に協力する立場だ」

と話しており、産経新聞社に抗議文を出すことも検討している。