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教育県長野で教員のわいせつ行為続発 半年で7人!の異常事態はなぜなのか

   長野県内で子どもへのわいせつ行為で逮捕されたり懲戒免職になったりする教員がこの半年で7人という異常事態になっている。その理由について、ネット上でも様々な憶測が出て、論議になっている。

   「2人だけの秘密だよ」「励ますつもりで無意識に」。

   報道によると、長野県教委が2012年8月9日に懲戒免職処分にした教員2人はそれぞれ、こう称して教え子の体を触るなどしていた。

青少年健全育成条例ないのが背景?

   長野市内の小学校の男性教諭(52)は、11年7月~12年6月にかけて、体育館わきの器具室などで女子児童6人にキスしたりさせたりしたほか、体にも触っていた。多いときは、週1、2回もこうした行為をしていたという。

   また、北信地方の高校の男性教諭(58)は、12年5月に特定の女子生徒への個別指導で腰や太ももに触る行為を複数回していた。この教諭は、08年に学校外のプールで女子小学生の腰や背中を触ったとして、県迷惑防止条例違反の罪で罰金30万円の略式命令を受け、減給3か月(10分の1)の懲戒処分を受けている。このこともあって、厳しい処分にしたという。

   さらに、3月からは、わいせつ行為で警察に逮捕されるまでになった教師が、小学校から高校まで毎月のように計5人も出ている。その内容も、ビデオカメラでの盗撮から教え子とのみだらな行為まであった。

   短期間にこれだけ教師の不祥事が噴出するのはなぜなのか。

   ネット上では、教育県として知られる長野では、教職員組合の力が強く、学校や教育委員会の身内に甘すぎる体質や事なかれ主義がはびこっているためではないかとの見方がある。高校の教師については、最初の処分が軽すぎたとの声も出た。

   一方で、長野県に、淫行処罰規定を盛り込んだ青少年健全育成条例がないことがあるのではないかとの指摘もあった。都道府県で条例がないのは長野県だけで、ネット上では、教師を守るためではとのうがった見方さえ出ている。

「たまたまなのか、発生度が高い年度初めだからなのか」

   長野県内では、東御市だけが青少年健全育成条例を施行している。教え子へのわいせつ行為で2012年3、4月に相次いで逮捕された中学校と高校の教師は、この条例を適用して逮捕された。

   ところが、8月に免職になった前出の教師2人は、まだ逮捕されていない。県教委の教育総務課によると、もし県条例があれば2人の行為は抵触する可能性が強いが、条例がないこともあるらしい。このため、逮捕されれば実名が出るはずなのに、2人の場合は県教委の処分で匿名扱いになってしまった。

   報道によると、2人のうち小学校の教師は、親告罪の強制わいせつに当たるというが、被害児童の親が「子どもを守るため特定されたくない」と警察ざたになるのを望まなかったという。いわば、この教師は、子どもを人質に取られている親の弱みのおかげで、告訴を免れた形になったわけだ。

   とはいえ、今回の不祥事続発で、警察から動きが出てきた。

   県議会の6月定例会で、県警の佐々木真郎本部長が、条例がなかったため摘発できなかった事例を挙げ、「条例の制定は必要だ」と訴えた。これに対し、阿部守一知事は、「広く意見を聞き、対応を決めていきたい」と答弁で明言を避けている。

   警察が相次いで教員を逮捕したことについて、ネット上では、こうした背景もあるのではとのうがった見方が出た。児童らの性被害に詳しい奥村徹弁護士も、「青少年条例の制定への圧力か・・・」とツイッターでつぶやいている。

   教員のわいせつ行為続発について、県教委の教育総務課では、こう説明する。

「たまたまなのか、発生度が高い年度初めだからなのか、などを含めて、判断しかねています。処分は、県の指針や過去の例をもとに厳正に決めており、甘すぎたことはないと考えています。一部に青少年条例がないからという議論があるのは確かですが、そのことについては何とも申し上げられません」