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香港の人気歌手が「反日」の標的に 日本食を食べただけでバッシング

   中国で盛り上がる反日ムードのあおりで、香港の人気歌手が日本食レストランに行っただけでバッシングを受けるまでになっている。とはいえ、反日も行き過ぎると、とんだとばっちりを受けるようだ。

   「売国奴」「裏切り者」「ネコと一緒に地獄へ行け」…

   香港の歌手で女優のフィオナ・シットさん(31)のブログコメント欄には、こんな罵詈雑言が並んだ。

中国人にもバッシングは跳ね返ってくる

   フィオナさんは2012年8月20日、ペットのネコを連れて日本料理店で食事を楽しんだ。そのときの写真をブログで紹介すると、激しいバッシングが巻き起こったのだ。

   尖閣諸島にこの前日、日本人10人が上陸し、中国では、20都市以上で反日デモが相次いでいた。デモでは、「日本製品をボイコットせよ!」とのスローガンが叫ばれ、日本料理店や日本車が壊されたりした。そんなタイミングだっただけに、日本食を食べただけでもターゲットになってしまったようだ。コメントは、中国大陸からのものが多くを占めていた。

   香港紙「東方日報」によると、この騒ぎに、フィオナさんは、「こんな大きな反応が起こるとは思っていなかった」と驚き、「ただ食事をしただけですが、つらい思いをさせたとしたら謝りたい」と話した。現在は、ブログは閉鎖されている様子だ。

   とはいえ、こうした騒ぎは、ひいては中国人そのものに跳ね返ってくる可能性が大きい。

   中国の広東省で暴徒の被害にあった日本料理店「徳川」は、報道によると、経営者も調理長も中国人だった。日中は経済的な結びつきも強いため、行き過ぎた反日の影響は片方だけに留まらないのだ。

反日デモ隊も手痛い「見返り」を受ける

   フィオナさんの日本食騒ぎについても、日本のネット上では、日本食レストランであっても経営者は中国人では、と冷めた声が出ている。貧富の差が激しく高級店に行けない人も多いことから、日本車を壊す行為も含め、実際は金持ちに対しての反感ではないかといった見方まであった。

   とばっちりは、日本をやっつけたはずのデモ隊にも及んでいる。

   中国のネット掲示板上では、反日デモの帰りに自分の日産車が破壊されているのを見つけたとされる女性の写真が紹介され、その悲嘆に暮れる様子が波紋を呼んだ。中国では、それは仕方がないとの声が占めたが、日本では、「お気の毒というか、自業自得というか……」といった反応が多い。

   キヤノンのカメラを首にかけたデモ隊の男性も見つかり、中国のネット上でも、その矛盾する様子が晒されている。また、日本車を模倣したようなデザインの中国車が、間違って壊された被害も報告されていた。ボイコットといっても、中国製品には、パソコンのメモリに日本製品が使われるなどしており、「日本製品に抵抗することはできません」との声も出ていた。

   社会的な影響も大きいため、政府系中国紙「中国青年報」が2012年8月20日、「中国人所有の日本車を壊し、私有財産を破壊するのは愚かな行為だ。中国のイメージにも悪影響を与え、日本側を利することになりかねない」と異例のコメントを出す事態にまでなっている。