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ゲーム業界に「メタルギア」ショック! コナミ「Xbox360」日本版開発中止の舞台裏

   全世界で3000万本以上を売り上げた大ヒットテレビゲーム「メタルギア」シリーズの最新作「メタルギア ライジング リベンジェンス」日本版が、マイクロソフトのゲーム機「Xbox360」では発売されないことになった。

   「メタルギア」はもともとソニーのゲーム機「プレイステーション(PS)」用に開発されてから大ブレイクし、次々と続編が開発された。ところが、2009年に「Xbox360」でも発売すると発表され、当時は「PS3からXbox360への電撃移籍か?」と騒然となった。

「日本版の発売はPS3のみにさせて頂きます」

   「メタルギア」シリーズの「PS」用ソフト第一作、戦略諜報アクションゲーム「メタルギアソリッド」が発売されたのが98年で、以降は「PS」の看板ソフトの一つとなった。しかし、シリーズ最新作「メタルギア ライジング リベンジェンス」について、09年6月1日に、マイクロソフトは公式ホームページと世界最大のゲームショー「E3」の舞台で「Xbox360」リリースを発表。舞台にはゲームの監督でKONAMIの小島秀夫氏も登場した。

   後に「PS3」用も開発されることがわかったが、日本国内ではファン達が「Xbox360」でしか遊べないと大騒ぎになった。発売予定日は2013年2月21日となっている。

   ところがコナミは突然12年9月12日に公式ホームページで

「諸般の事情により、誠に勝手ながら日本版の発売はPS3のみとさせて頂くことになりました。Xbox360での発売を心待ちにして頂いておりましたお客様、並びに関係者の皆様には、大変ご迷惑をお掛けいたしますことを深くお詫び申し上げます」

と発表した。ここでポイントとなるのは、海外の「Xbox360」用ソフトは発売するけれども日本版は発売しない、という点だ。

   これはいったい何が背景にあるのか。マイクロソフトに問い合わせたところ、コナミに聞いてほしいということで、コナミに問い合わせると

「諸般の事情ということで理解してほしい」

ということだった。

Xbox360用に作っても売れる見込みがない?

   ゲーム業界に詳しいジャーナリストに話を聞いてみると

「日本のゲームメーカーが国内のXbox360市場に見切りをつけたのではないか」

と説明した。つまり、Xbox360用に作っても売れる見込みがない、ということのようだ。

   例えば、11年末の数字で「PS3」は全世界に累計で約6200万台出荷しているが、「Xbox360」は6400万台と上回っている。しかし、エンターブレイン調査によれば、日本国内の「PS3」が12年6月末で約811万台に対し、「Xbox360」は約155万台。それだけでなく、「Xbox360」の売れ行きは伸びず、同調査では、12年9月3日から年9月9日までの一週間で「PS3」が1万2210台売れたのに対し、「Xbox360」は562台となっている。

   先のジャーナリストによれば、マイクロソフトが日本にゲーム機で参入したのが02年、当時からゲーム機は任天堂とソニーの2強で、国内のゲームメーカーはマイクロソフトに関心が薄かった。ただ、北米やヨーロッパで「Xbox360」が大ヒットし、日本のゲームメーカーは国内の売り上げが頭打ちになったため、海外に市場を求めた。

   08年頃から「Xbox360」を媒介にして海外に打って出ようとマイクロソフトに接近し、「PS3」と「Xbox360」用に別々にソフトを開発する事になった。例えば世界的に大ヒットしているカプコンの「バイオハザード」シリーズも両方のゲーム機で販売している。しかし、日本国内ではソニーと任天堂の2強は揺るがなかった。

「Xbox360のハードやソフトを売る店も激減しています。ただ、海外戦略でお世話になっているから関係は切れない。でも、日本版の開発は止めたいと考えていて、コナミがその先陣を切った、そういうことだと思います」