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ユーチューブ「再生数」よりも「視聴時間」重視へ ネット上で「K-POP対策よくやった」の声も

   動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)が、検索結果が表示される仕組み(アルゴリズム)に変更を加えたことを2012年10月12日、コンテンツ制作者向けの公式ブログで発表した。

   再生されている時間が長い動画を高く評価する、というもので、この方針をめぐって、日本のネット上では、動画の再生回数が不自然に多い韓国人歌手への対抗措置だという憶測が広がっており、「よくやった」といった声すらあがっている。

方針変更は「より多くの人々の生活の中で、一番大切なメディアになるため」

アルゴリズムの変更は、ユーチューブの公式ブログで発表された
アルゴリズムの変更は、ユーチューブの公式ブログで発表された

   公式ブログによると、今回の方針変更は、コンテンツ制作者に対して、長時間の視聴に堪えるコンテンツづくりをうながす狙いがある。この変更を試験的に行ったところ、「クリック回数が減り、視聴時間が増える」という「望ましい結果だった」ため、本格実施に踏みきった形だ。

   この方針は、「より多くの人々の生活の中で、一番大切なメディアになるため」(2012年8月)などとして、これまでも打ち出されてきた。この背景には、一般世帯でビデオを見る際は、ひとつの番組(動画)を長時間視聴することから、ITリテラシーのそれほど高くない層に対してもユーチューブのコンテンツを浸透させる狙いがあるものとみられる。

   再生回数はリロード(再読み込み)すれば、比較的簡単に増やすことができるが、再生時間を増やすのはそれほど簡単ではではない。このため、方針変更後は、検索結果に大きな変化が出る可能性がある。

韓国PSYの再生が「不自然に多い」との指摘も

   米国IT系ニュースサイトがこの方針を報じる中で、再生回数が急激に増えている動画の写真を掲載したことから、日本のネット上では、

「コレほど明確な暗示も珍しい」
「ほぼ名指しと一緒じゃねーか」

といった声が続出。ニュースサイトの記事には、動画の写真に関する説明はなかったものの、「方針変更は、記事に掲載されている動画への対策のためなのではないか」という憶測が広がった形だ。

   動画は、韓国で人気上昇中の、サングラスをかけた小太りの歌手「PSY」(サイ)さん(35)が歌う「江南(カンナム)スタイル」。すでに4億6673万回も再生されているが、日本国内では「不自然に多い」との指摘も出ていた。

   PSYさんをめぐっては、大手紙の東亜日報が10月6日の記事で、

「中国でも『カンナムスタイル』ブーム、日本は相変わらず冷めた反応」

と題して、米国や中国ではPSYさんの人気が上昇しているにもかかわらず、日本からの反応が冷ややかなことを伝えている。記事の中では、PSYさんの動画の人気ぶりを紹介する中で、

「100万件以上のクリック件数を記録した国も、45ヵ国に上っている。インターネットの加入者数が19万人(10年末基準)に過ぎないモンゴルでのクリック件数は、90万件を越えている」

と紹介している。だが、「どの国からアクセスしたか」については、「プロキシ」と呼ばれるサーバーを経由するように設定すれば、比較的簡単に偽装できることが知られている。このことから、モンゴルでの不自然に多いクリック件数が、何らかの「工作」の痕跡なのではないかという見方も出ていた。